「ロイ」って呼べない


「ロイさまーちょっと手伝ってー」
「はいはい。…あのさフィオ、聞いていいか?」
「ん?いいよ。なに?」
「なんで俺の名前呼ぶときに『ロイさま』って、『さま』を付けるの?」
「え?…ああ、確かにそうだね。私『ロイさま』って呼んでるね、あなたのこと」
「それさ、やめてくれないか」
「うん? うん、いいよ」
「いいのか…やけにあっさりだな。まあいいか」
「あ、ロイさまコレは向こうに置くやつだからさ、一旦下ろしておいてね」
「…『さま』、付いてる」
「へっ?」
「また『ロイさま』って言った。やめるって今言ったばっかりだろ」
「うそ、言ってた? ごめんごめん」
「……」
「ロイさ… あ、えっと、ろ、ロイ…さん、これも…さっきのと一緒に…下ろして…」
「フィオ…」
「ご、ごめ… うーんと、えっと…うーん…」
「俺の名前は『ロイ』だから、な?」
「ごめんってば…そんな凄まないで」
「凄んでなんかないっての」
「…うーん」
「なんなんだよ…」
「……ろ、ろい…ろい?ろい、ろい…」
「何で小声で練習してるんだよ。たかが名前呼ぶだけのことだろ? 二文字だぞ?たった二文字!」
「ひいっ!だ、だって、なんかっ、ロイさまのことを呼び捨てだなんて、そんな、なんか、おそれ多くてっ」
「何がおそれ多いだよ!そのおそれ多いと思ってる相手に対して片付け指図してるのはどこのどいつだよ! ふざけるのも大概にしろ!!」
「ふ、ふざけてないよ…!」
「じゃあなんだよ!無駄な『さま』付けだなんてただの蔑称にしか聞こえないんだよ! だからやめろって言ってるんだ!」
「…ッ」
「…ごめん、怒ってるわけじゃない」
「…うん、ごめんなさい。でも本当に、ロイをロイって呼ぶのは私にはむずかしくて…」
「言えてるじゃんか」
「あなたに向けて言えないんだよ。恥ずかしい…のかな、自分でもよく分からなくて…」
「…俺には意味が分からないよ。フィオ」
「…私にも分からないんだってば。だから、私はあなたにごめんとしか言えないし… くそー、すんなり言えると思ったんだけどなー…!」
「…とりあえずは『ロイさま』でいいや。でもフィオ、頑張れよ? ホントは嫌だからな。『さま』付け」
「うん、頑張る。私頑張るよ、ろい。ロ…イ、ろい、ろい…」
「目が据わってる… 大丈夫か…」

- - -
何を隠そう、私自身が人の名前を呼び捨て出来ない人間なのです!!!!(どーん)
なんでなんだろ……ほんと…だれかたすけて…^p^
140407
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