ロイさまと夕日を


涙が。

「どうした?」
「へ?」
「涙」
「…あ、ホントだ」
「…なーに笑ってんだよ」
「えへ、へへっ…」
「たまには泣いとかないとな。涙腺枯れきっちまうぞ」
「グスッ。…確かに。でも、綺麗でしょ? 夕焼け空」
「そうだな」
「…あのね、ロイの髪色は、焼け尽くされた夕空みたいな色なのね。んで私の髪は夜一歩手前の夕焼けの色してるの。私はそう、感じてる」
「へえ」
「今の空、上半分が真っ赤で、下半分は真っ青で、なんだか、絶対に溶け合わない二つの色にちょっと、感動して…」
「アンタにそういう感性があったことに俺は驚きだよ」
「なんだか失礼だなぁ。でもね、赤と青って言ってみれば相反するような組み合わせの色じゃん。それって逆に取れば赤は青の代わりにはならない。逆もしかり。なの」
「なにが言いたいの?」
「……」
「…?」
「日が暮れ切るまで、ここにいていい?」
「…涙を一回、拭かせてくれたらな。泣き笑いでお願いするの、今度から禁止にするから」
「…かわいい?」
「…ずるいの。あざといの」

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この前見た夢で、空の真ん中から横一線入れたように、真っ赤な夕焼けと真っ青な雲の帯が上下ひたすらに続く風景を見て、感動して立ち尽くし、そのうち足が痛くなったので足の裏を見たら芋虫がビッシリくっついていてあまりの気持ち悪さに気絶したら目が覚めたっていう。

日が暮れて全ては黒に溶け込んでゆく。赤も青もなにもかもが一つになる。黒空に輝く満天の星空。ぽっかり浮かんで見下ろす月。そのうち日が上れば、今度は赤も青も、はなればなれ。

140325
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