ロイさまが作るごはんが食べたい♪


ねえ、とフィオはソファに座ってテレビを見ているロイを呼んだ。
座ったままのロイは首をフィオの方にぐうるりと持ってくる。

「んー?」
「今日のご飯なに?」
「今日も俺が作るの?」
「いやだって、私もう仕事に出かけるし、帰りはちょっと…遅くなりそう。8時までには帰るつもりだけど」

鞄の中身をガシャガシャとかき混ぜながらフィオは眉を寄せた。

「そんなに遅くなるのか… うーんと、やたらピーマンが余ってるからチンジャオロースでも作って… あとは餃子でも…」

そこまで言ってロイは目を伏せた。それからジト目で、げっそりとした表情をするフィオを見ながらじっとりと言う。

「アンタがピーマンやだ!って言うから、俺はアンタが嫌いなものでも食べやすくなるようにって考えて作ってるんだぞ?」

きっと刻みに刻んだピーマンを餃子の具に入れるつもりでいるんだろう。なんとなく察して、苦い顔をしてしまうフィオ。一拍置いて、口元が笑んだ。

「…用意してくれるなら食べるよ。是非にでも。アッチの人には晩飯用意するとかそんな気遣いしなくていいから早く上げてくれって言ってあるから、たとえ用意してくれてても意地でも食べてこないから」

物がありすぎて混沌としている鞄の中から目的の物を見つけて、フィオはそれを袖を通したコートのポケットに入れる。握った手に収まるサイズの防犯ブザーだ。

「それは… 向こうの好意として受け取ってもバチは当たんないんじゃないの?」
「仕事だけでの関係なのに恩を売られてるみたいで気持ち悪いんだよ… 売られても返すつもりないからさ」
「つれないなー って思われてるよ。きっと。それで仕事が上手くいかなかったらどうするのさ…」

マスクをして帽子をかぶってマフラーと手袋を装着したフィオの目が、笑顔をロイに向ける。

「だいじょぶだいじょぶ! アッチに何を思われてようが私はどーでもいいし、なにより、愛しのロイが家で待っててくれてるからね」

厚手の手袋のゴワゴワした感触がロイの頭に襲いかかる。ワシャワシャと、ロイの赤い髪は空気と静電気を含んでふんわり膨らんだ。ロイの頬もふんわりと膨らむ。

「…ばか言ってないで、ホラ!時間!ヤバいって!!」
「うおっマジだ」

急かされているのにのんびりと編み上げのゴツいショートブーツを履きだすフィオの後ろ姿を見て、ロイは頭を抱えながら玄関口まで出てくる。

「気を付けて行ってこい!寄り道はするな!まっすぐ帰ってこい!」
「ほーい!いってきまーす!」

体を玄関から外に飛び出させてから、「あっ」と外からフィオの声が上がる。勢い良く戻ってきたフィオが険しい表情でロイに詰め寄った。

「ごはん!中華スープも付けてほしいな!」
「かきたまの、だろ?分かってるって」
「さっすがぁ!あいしてるよロイさまー!」

今度こそ、満面の笑みで手を大きく振りながらフィオは行った。…玄関から半身しか出てないとはいえ外、気恥ずかしさから苦笑の表情のまま控えめに手を振って、フィオの姿が見えなくなった頃にロイは胸に溜めていた空気をふっと吐いた。

「…ふわふわのかきたま、な。…子どもかっての」

ロイは今日の献立を考えながら、それに必要な食材で家に無い分は買いそろえなきゃなと考え、ほかほか炊きたてのご飯を美味しそうに頬張るフィオの笑顔を想った。

「…お金、足りるかな?」

同時に己の財布の中身を思い、確か札の類は入っていなかったはずだな…と、ロイは知らずの内に上がっていた口角を更に上げて若干引きつった笑顔を作り、なにやらブツブツと呟きを零しながらのっそりと家に入っていった。



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うー最近会話文のみばっかだったからなんだかなー!練習あるのみ!と、拙くても頑張っていこうかなと思いますSS!SSS!

ところで私はトマトが苦手なんですがどうやったら食べられるようになりますかロイさま?私のためにトマト克服料理を作ってください…!
あのグニグニ感でザラザラ感がダメなのよね… ケチャップは大丈夫なの。
あとピーマンも苦手。生の玉ねぎも苦手。苦いので…^^;

140208
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