ロイさま、エビちょーだい。


「どう…言えばいいのかねぇ…」
「何が?」
「その"何が?"がわからないからこうやって私は頭を悩ませているんだよロイ君…」
「???」
「んんー… ……ん?そうか、言えない…言葉で表すんじゃなくて…」
「(真剣、っぽい表情はして悩んでるみたいだけど…)」
「んっ」
「ん?」
「(だいすきですロイさま!!…この思いよ、どうかコイツに伝われ!ぎゅううう!)」
「な、なに?俺の手がどうかした?」
「(ぎううううウウウ!!!)」
「???」
「………い、いったぁ… 手ぇ握るのについ力みすぎちゃったぁ…」
「…今の、フィオの(握力の)本気? なんか…笑っちゃうね」
「!?」
「正直言うと、フィオならもうちょっとやってくれると思ってた(握力的な意味で)」
「!!?」
「…拍子抜け、かな?(笑)」
「!!!!??」
「そういう所は女の子らしいんだな。普段の不摂生も祟ってるんだぞ。ちゃんと直していかないと……ってアレ?どうしたんだ? 目が据わって…ませ…んか……?フィオさん……」
「……もっと を、ご所望ですか?」
「えっ」
「モット を、ご所望ですねェ?」
「は、ハイ…… …?」
「おっしゃあよしきた!おいコラロイ様歯ァ食いしばれや! …ありったけの私の愛を!どうか受け止めやがってくださいィィァああああアアア!!!!」
「いっいきなりすぎて訳がわからないけどっ!…俺はいつでもあんたには!全力で応えるから!いらない心配なんかするな!!」
「焦った表情からのその余裕ぶっこき笑顔はいつも反則だと思うんですよ私!ロイさまやっぱりかっこいいー!すきだー!!(うりうり!!)」
「そ、そういう無理矢理にテンションをマックスまで上げてくる、照れ隠しな反応を毎度してくるあんたもまあ、よくも飽きないでいてくれるもんだな…と思うよっ俺は!」
「?」
「…なんでもない!」
「でへへ」

- - -
エビ(エビデンス)…証拠、根拠、証言、形跡などを意味することば らしい。この言葉をたまたま聞く機会がありまして。

フィオさんは臆病者。ロイさまはいつだって優しい言葉をくれるのに、彼女はいつも不安でしょうがない。不安を拭い去ってくれる確たる証拠があるんだったら是非ほしい。手元でずっと撫でていたい。…そんなもの、もしかしてないんじゃないかといつも不安でしょうがない。
好き。…どうして好きなの? 一緒にいたい。…どうしてそう思うの? 優しい。…どうしてそうしてくれるの?
様々なベクトルの事柄に対し『それは○○だからですよ』という『裏付け』を求めるのは、それこそが彼女の得意とするやり方だから。そうすることでようやく安心して物事に取り組める、失敗を知らない、失敗が恥と考える彼女が、石橋を叩いて渡るやり方しか知らないから、とも言える…

だがしかし
「好き!」
「俺も好き!」
は彼女にとってベストアンサーではなく、
「好き!」
「ハイハイ」
の方が彼女の心は満たされるんだって。
まあお互い自然体でしあわせ感じあってるならそれが一番いいですよ。
あとロイさまだってたまには不安になりますよ人間だもの。ってハナシ。

- - -
昔は握力が22くらいだったんですが、最近年取ったせいか手や腕に力が入らなくなってきてですね…
弟が握力勝負をたまに挑んでくるんですが「早く本気出せよ」と最初からクライマックスで握ってる私を煽ってきます。その後彼が力入れてくるんですがすぐギブアップします。骨を折られるので…^^;
ロイさまの握力は言わずもがな、って感じですね。

140122
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