トリップして三成さんにアホかます


「BASARAの石田三成じゃ、」

ないか。…と続けようとしたのに鼻先に刀の切っ先をズビシィ!と向けられ、私はごく自然にホールドアップしていた。この見た目にこの反応、うわぁ、やっぱり彼っぽいじゃん。

「落ち着いて、落ち着いて。私そんな怪しい者じゃないですから」
「…いきなり現れておいてよく言う。…姿からして奇っ怪ではないか。貴様、妖怪か?」
「よ、妖怪……」

彼なりの冗談なのか? そうなのか? 表情は変わらず威嚇してますーな感じだけど、うっわ…目付き超怖いんですが… ここで笑ったら斬滅されるよね。既に眼光だけで斬滅されそうだもの…

「妖怪ではなく、神様なんですけど」

ちょっと胸張って言ってのけた。その瞬間のこの男のポカーン具合と言ったら…「は?こいつ頭大丈夫か?」的な、かわいそうなものを見るように見下してきやがった。何だこの石田三成、ずいぶん失礼な奴だな。せっかく冗談返ししてやったのに…ノリ悪いぞ!

「捨て置いて問題無さそうだ」

呆れながら刀を収め、石田さんは何処かに行ってしまう。…ちょ、ちょっと、スルーですか放置ですか! それはお姉さん悲しいというか、悔しいというか、泣きたくなるというか、…いやだからちょっと待てコラ石田三成ー!!

「っ、しつこいぞ」
「うおっ!」

一閃、光が走る。そして、バチリと弾ける。
キィ…ン、と澄んだ金属音が反響し何度か聞こえた後、反射的に閉じていたまぶたを開くと目を見開く石田さんの顔があって、刀を振り下ろしてる石田さんの手があって、刀の刃と私の間の空間に固く光る何かがあった。

「(何だこれ、バリアかなんか? すげーすげー …ってそうじゃない!) おいっ! 丸腰のか弱い乙女に向かって切り付ける奴がいるかっ! この外道!ひょろひょろ!前髪妖怪!」
「…貴様…」
「きゃわー!」

さっきよりマジな感じで斬りかかっていらっしゃった石田さんー!目怖い目怖い!

「なん、だ…これは…」
「…はら?」

キン、キン、キィン、と、高らかに打ち付ける刀の音。訝しげに私を見やる石田三成はとりあえず無視。気付くとしゃがみこんだ私を包むように先程の光る壁が覆っている。あれ、これもしかして…

「マジで…神になっちまったか…?」

もしや最強夢主的なアレか!!





「気に食わない…斬滅しなければ気が済まない…」

これで石田三成が相手だとか言うなよ…?


― ― ―
長女さんとみっちゃんは常に言い争いしてそう。だからといって仲が悪い訳ではなく、それなりには認めるものがあるみたいです。
ばさら長女さんは“拒否”する力が付いたようです。斬るな!と拒否すれば斬られないし、触るな!と拒否すれば触られない。あくまで物理的な話ですが。
その力でみっちゃんを振り回してほしいなとか…ってアレ? 長女さんに振り回されるとか、なんかデジャブが…

ロイ「ぶぇっくし!!」

11/12/16
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