平井銀二と森田鉄雄という男や巽・船田・安田という男たちとは
とある別件でお世話になり、そこから仲良く(?)なっていって
しまった、ただただ普通の女子大生な彼女、みつきが
家に帰ってきた瞬間タイミング良く鳴った電話に出てしまったのが
発端である。






呼ばれた場所は都心のスイートホテル。
電話で呼ばれたのは平井銀二。よく仲間達からは「銀さん」
と呼ばれる人であり、みつきはまったく警戒心がないまま
呼ばれたままノコノコやってきたのだ。
部屋は最上階、新宿や色んな景色が夜景で一望できる・・・。
ホテルマンはにこりと笑って案内をしてくれ、部屋の前で
頭を下げて戻っていってしまった。
「(仕事、終ったのかな。)」
それとも仕事の最中なのだろうか、家で仕事なんて
できないだろうし、考えられないみつきは頭の中がパニック状態に
なりさっさとベルを鳴らそうと思った瞬間
ガチャリ、ドアが急に開いたのだ。
「だあ!巽さん危ないじゃないですか!・・・あれ?」
「いったぁ・・・」
何かが覆いかぶさってきた、尻餅はついてしまい
瞬時的に目を瞑ってしまったみつきはナニが起こっているのかわからなく、目を
開ける前に聞き覚えのある声が上から聞こえた。
「・・・森田くん?」
「なんだ、みつき来たのか。」
見開くと上半身裸な森田と、サングラスをいつものように
着用していてタバコを咥えながらも笑っている巽がいて
みつきはきょとんとした顔で彼らを見ていた。

「森田、早速みつき喰っちまうつもりか?」
「!」
「?」
後ろから安田という男ののケラケラとした笑い声が
聞こえ、はっと気が付いてみてみれば森田がみつきを襲っている
シーンにも見えなくはない。
森田は気が付いていたが、みつきが気づくまであと数秒後。







スイートルームに入れば夜景が一面に見えて
それと同時に無駄にでかいテレビにテーブルには
フルーツ盛りや刺身、クラッカーにはチーズが
乗っかってあって様々なジャンルの食べ物が占めていた。
銀二はどこへいったのか、と見ているとダイニングのところで
お酒の中に囲まれているではないか。
平然と笑ってこちらを見るものだから少しだけ
胸が高鳴る。
そんな高鳴りを消させるような笑い声が耳にこびりつき
何かと思ったらさっきのケラケラ笑っている声の本人である。

「よお、みつき!」
「んもう、安田さん飲みすぎですよ?」
手にはそのまま飲むのであろうかワインを片手に
空いている左手はぽんぽんとみつきの肩を叩いていた。
近づいてきた安田と呼ばれる男の匂いが酒くさい。
「焼酎、ワイン、カクテルまで飲んでるからな。」
と苦笑いしているのはジンライムを飲みながら説明する
巽であり、みつきの眉はハの字になっている。
やっぱり飲みになるとこうなのか、と思いながら小さく
しかたないなーとため息を零していると、ずいっと目の前に
オレンジ色した飲み物がみつきの前に出された。
それをもって来てくれたのは意外にも船田であり、不敵な笑みが
似合っていてみつきも釣られて笑った。

いつもだったら船田は来ないのに、珍しく来ているからか
みつきも嬉しそうな表情を隠せていない。
「ほら、銀さんがみつきってよ。」
「テキーラサンライズ!銀さん覚えてくれてたんですね。」
ジーンと感動しつつも、乾杯をした船田とみつきは
とりあえず食事を楽しんでいたのであった。








「ポッキーゲームですか。」
「あぁ!お前だってやったことあるだろう?」
だいぶここの部屋に居る男・女が酒で出来上がってきたころ
ジャジャーンと酒の酔った勢いもあって安田が
先陣切っていってきた言葉がこれである。
しっかりとポッキーの袋が握られていて、そして
3つのサイコロ。
「みつき、チンチロって知ってるか。」
「はい、出目で勝敗が決まるって奴ですよね?」
「そう!そんで撒けた奴とポッキーゲームするって
面白そうじゃないか?」
「・・・それ、安田さんがやりたいだけじゃないんですか?」
しかも一応女の子だって私しかいないんですけど。と若干焦りを
感じた時後ろから声が聞こえた。

「楽しそうじゃねえか。」と。

その低音な声に酒を飲んでいたみつきの背筋がぞくぞくとなり
同時に声の主がすぐ後ろにいるという驚きも重なった。
「え?銀・・・さん?」
「よーし!銀さんからの承諾有りってことで始めるぞ!」
まるで女子高生みたいなこのノリの安田さんに誰がついていけるのであろうか。
・・・意外に銀二という男も少しは楽しそうである。





「森田くん、ちょっとごめん。」
「どうしたんだ・・・?」
ゲームが始まる前にトイレにいこうとみつきが席を立ち
トイレへといく廊下に上着をとりあえず着た森田がいたのだ。
さっき、あの部屋での説明を聞いていない森田はあっちは
騒がしそうだな、と苦笑いを浮かべている。
みつきがしめしめという顔をしながらも、森田を立ち止まらせることに成功した。
「なんか、ゲーム始まるみたいなんだけど。」
「・・・また安田さんとか?」
「・・・まあね。」
「好きだなぁ安田さんも。」
とノっている場合ではない、みつきはそう自分自身にツッコむと
両手を広げて前にいる森田へと倒れたのだ。
そんな唐突な行動にびっくりする森田は条件反射でみつきを抱きとめた時だった。
「・・・!みつき!?」
女とは思えないほどの抱き付きっぷり、まるで縄で
自分がしめられているみたいなこの感覚はなんなんだ!?
驚きを隠せていない森田だったが、何を満足したのだろうか
ふうと小さなため息をこぼし、みつきからするりと離れたのだ。


「・・・よし!これで森田の幸運は私のモノ!」
「・・・は?」
「ううん。こっちの話。さ・・・戻らないと!」
トイレは?という森田の突っ込みにみつきは森田の後ろに回りこみ
背中を手で押していったのだった。











森田の幸運は本当によく効く。
みつきは惚れ惚れとするほどである・・・現在のところ安田、船田、巽
に全勝であり、残りは森田と銀さんのみである。
勿論、負けた3人は野郎達で約束通りポッキーゲーム開催中であり
あまりにも似合わない(色気ない)光景に森田と銀二とみつきは
笑いっぱなしで有る。
船田さんと巽さんが向かい合いながらポッキーの端を食べ進んでいく・・・
なんという光景だ。
「おい安田、お前が言わなければこういうことに
ならなかったんだ。」
といつもの威厳あるお顔に皺がよる船田や困った表情をする巽
予想外という表情をしている安田を見てケタケタと
笑っていた時だ。
ぐいっと腕を引かれ笑いが止まる・・・やばい、
「さあ、みつきやるぞ。」
テーブルに置かれたお椀、手には3つのサイコロ。
さっきまで呑気に笑っていたみつきの表情は一瞬にして
硬直した・・・ついに対戦か、と息を整える。
そんなみつきをみて銀二はククク、と笑っているのだ。


「なんだ?緊張してるのか?」
「・・・当たり前ですよ。ゲームでも銀さんとの勝負ですからね。」
さっきの酒の酔いも一気に覚める。
森田の運もまだ残っていて、尚且つ女神様が微笑むのなら
どうか、私に・・・そう思いをこめながらもみつきは手に掴んだサイコロに
願いをこめたのであった。



・・・・


「ほら、ちゃんと顔を近づけろよみつき。」
「無理です・・・!絶対無理です!!」
勝敗、平井 銀二圧勝。なぜあのヒトはシゴロやアラシを
引き当てることができるのであろうか・・・。
自分がピンゾロをだす確立は圧倒的に不可能、むしろ奇跡に近い。
さっきまでの運はどこへと消えてしまったのだろうか。
運は味方にできなく、最悪のションベンであった。

みつきがしょんぼりとした表情を浮かべながらも安田が楽しそうに
ポッキーを持って来ていたではないか・・・
「さっさとやれば済むぜ?みつき」
「ぎぎぎぎ銀さんは恥ずかしくないんですか!?」
「?別にお前だったらいいだろ。」
色気がないってことでしょうか・・・!みつきは涙目で訴えても通用しなく
ついに強行手段なのか船田がみつきの頭を手で固定、逃げられない体制になり
真正面に見える銀二の顔をみて真っ赤になるのを、とめることができない。
「わかりましたよ!やってやりますよ!」
半分ヤケになってみつきがポッキーの端を口に加えてやってやりますよ!と
宣言した通り食べ進んでいく。


「(そうだよ、先に口を離したほうが負けなんだから
銀さんが先に離してくれればいいんだから・・・!)」
自分に魅力のないといった銀二ならきっとすぐに口を離して
次のゲームにすすんでくれるだろうとみつきの期待が膨らんだ・・・・が。

「(ちょちょちょ、まって!銀さん全然口離さないし!ってか
まって!これは早くない!?)」
あと数秒もすればもうキスする寸前なんですけど、とさっきまで
ちょこちょこと食べ進んでいたみつきの動きが止まった時だった。
無理と観念したみつきが口を離そうとした時ぐいっとみつきの後頭部を誰かの手が
押してあと数センチだったポッキーの空間がなくなってしまい
目の前にいる銀二の顔しか見れなくなってしまった。

見ていた他の仲間達はおお!っと声があがるのしか
みつきは唇に暖かい感触に頭がフリーズ状態である。
・・・誰と誰がキスしてる?


「さ、次は森田。オレとやるぞ。」
「・・・は、はい。」

唇を離したのは銀二のほうであり、フリーズしていたみつきの頭を
ぽんぽんと撫でた後、しっかりと見ていた森田に不敵な笑みを
浮かべる銀二の言葉にとりあえず同意したのだった。
「・・・おーい、みつき?」
「・・・あの銀さん、絶対酔ってるな。」
「さあ、次は森田がどうなるかだな。」
安田がみつきがこのまま硬直しているのを心配し、船田は真顔で
そんな事をいい・・・巽は巽でタバコを咥えながら
サングラス越しで笑い森田の行く末を見守るのであった。







Play Boisterously








「・・・森田くんだけ酷い、銀さんに勝ちやがって。」
ポッキーゲームで唯一勝者だったのは森田であり
(銀さんが勝つかと思われたが仕事の連絡が入って口を
離してしまった・・・)唯一唇を奪われてしまったみつきはあの時を思い出して
顔が真っ赤に鳴ってしまっていた。
化粧をしたまま寝落ちしてしまったため、少しだけ顔がベタつく。
今日が学校じゃなくてよかった、と思いながらも洗面所にいき、
ぶつぶつと呟きながらも洗面所の扉を開けた。
「お、起きたのかみつき。」
「・・・・」
・・・目の前にいるフリーズをさせたヒトに私は、どうやって
言葉をかければいいのだろうか。


数週間くらい、みつきは銀二に顔を合わせなくするように勤めたが
またあの悪党たちに会うことになるのだった。






2011.11.26
墨さんへ!


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