「・・・文次郎。どうしたんだ、お前。」
「・・・なんでもないです。」
「でも、さっきは寝着なんて着ていなかっただろう?」
風呂からあがってきたみつきは文次郎の元へと足を運び
庭へと足を運んだ時だった。
鍛錬するために装束に着替えていたのに白い寝着になっているのに
みつきは不思議に思い首をかしげながらもまあいいか。と
いつもの明るさのままである。
「そういえば仙蔵はどうした?同じ同室だろう?」
「仙蔵は、朝早くから火薬を作りに。」
「そうか…すごいな仙蔵は。文次郎もすごいが…さすが「い」組の生徒だな。」
みつきはうんうんと、まるで自分が先生になったかのような嬉しそうな顔をする。
みつきはじゃあ部屋に邪魔してもいいか?と聞いてくるので文次郎は
首を縦に振った。



先ほどの級友達がいっていた言葉がまだ頭の中をグルグルと支配をしていた。
伊作には忍び装束を脱がせられ(しかも持って行かれた)小平太には水を被せらた文次郎に
まるでこれでいい。と笑みを零す仙蔵が頭からいまだに離れない。
5VS1対というなんとも不利な状況下にどうしてなったのだろう。
「さぁ、これで準備は万全だ。」
「何しやがる仙蔵!」
「私はお前たち…みつき先輩とお前のためを思ってやっているんだ。」
むしろ感謝してもらいたいものだな。と心にも思っていないことをいう仙蔵だが
水に濡れた体を覆うように新しい寝着を上から被せてきた。
「朝まであと少しだ。私は火薬作りのために火薬庫にいるからみつき先輩とゆっくりしておれ。」
「僕たちも応援してるからね文次郎!」
「いらん世話だ、バカタレ」
「さっさと唾しておかないと利吉さんに取られるぞ?」
こちらにきた仙蔵が小さくつぶやいた時、俺の頭の中にはみつきと一緒に仕事をする
山田伝蔵の一人息子でもある山田 利吉が頭に入ったきた。


山田利吉とは忍びの中でも有名なフリーの忍者であり、みつきのことが好きだと言うことは
文次郎も知っていた。だけれども、みつきが文次郎を両思いになってからは
利吉とは普通に接しているし、彼女関連ではなんにも言われてはいない。
だけれども、みつきとキスの一つも確かにまだでいる事実だ。
彼女と恋仲としての行為自体したことのないのは誰にも言っていないのに…
やはり同室のよしみというのはそこまでわかってしまうのだろうか。





「なっなんか嬉しいな。ここが文次郎と仙蔵の部屋か…」
みつきが文次郎の部屋に入るとまるで珍しいものを見ている表情を見せていた。
部屋の中は散らかってなどいずに、きれいに整理整頓されている。
基本的に汚くするということ自体しないのもあるが6年生ともなると委員会活動で徹夜の場合は
委員室で寝ることもしばしばであるし、野外練習も比較的多くここでは寝ることと
野外訓練の場合に戻ってくることしかないからかもしれない。
「そうですか?普通ですよ。みつき先輩は当時は散らかっていたんですか?」
「あー…まあ一人部屋っていうのもあってのんびりとね、」
もごもごと濁しているみつきに不思議に思っていたが
瞬時に彼女が言葉を濁したい気持ちが分かる。

そうか…前会計委員長でもあった先輩も言っていたが
忍たまが進級していくたびに生徒が減る…それはくのたまも一緒だからだ。
しかもくのたまには房中術という敵と身体を重ね情報を収集すると言う術まである
…それに耐えられなかったりするものはこの学園から消えたり作法学びに
通ったりと変更することだってできる。
まだみつきがこの学園の生徒だったときに同室の子がライバルなんだ。
と言って自慢しているのを文次郎も思い出す。

みつきはへらへらと笑いながらも畳に座ると文次郎も座った。
しかし其の瞬間ぐいっと文次郎の胸蔵に衝撃が走る。
暖かい感触が胸を温まれるようだ…彼女みつきが身体を寄せてきたのだ。
黒いサラサラとした髪の毛しか見えなく顔は見えない…この人がこんなに小さい
なんて思いながらも一体どうしてこうなったのか自分の中で整理しようとしたときだ。
小さい、蚊の鳴くような声と言葉に胸が痛んだ。


「やっと帰ってこれた…」
「みつきせんぱ…」
「ずっと、文次郎に会いたかった。本当だぞ?」
ぐいっと身体をひっつかれて胸の鼓動が張り裂けそうになった。
暖かくて、自分とは違う柔らかい感触…尚且つ、自分が好きな相手だと思うと
無性に本能のままに?き抱いてしまいたい衝動に駆られた瞬間だった。
ぎゅっと彼女を抱いて文次郎は言葉をつぶやいた。
「…みつき。」
初めて、目上の人に名前だけで呼んだ。怒るだろうか…みつきの反応が
あまりないのをみると許されたのかと思ったとき
くう、と寝息らしき声が聞こえた。

「(うそ…だろう?)」
身体を一度離して、文次郎はみつきの顔を見ようとしてみれば
案の定、彼女は瞼を閉じてぐーすかと寝てしまっているではないか。
起こしてしまおうかと考えるが起こしてしまいという衝動は消えて
文次郎はみつきの寝顔を見たとき寝ている間に不意打ちか、と思いながらも
彼女の唇に自分のを重ねた。








その頃の他の6年生達は…

屋根裏に潜んで彼らを見守っていたのであった。
特に新発展がなく、仙蔵がイライラしたり、口付けをした時
は組が騒ぎそうになったり、小平太としては「文次郎もっとやれー!」
と大声をだして長次に手で口を塞がれたりと屋根裏ではいろんな意味で五月蝿いことになっていたのである。








あとがき

と言うわけで、まあ特に進展というか、そういうのはないんですけど
皆に見守られている主人公と文次郎を書きたかっただけです笑
ちなみにキリ番を踏んでくださったルイさんにささげます。

他の話を見てもわかるようにはしてはありますのでこれだけでも
楽しめればとおもいます。
ちなみに文次郎が主人公の名前をさん付けなしの時が一番かきたかっただけです。はい。


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