「あれ?豪くん、どうした?」
「あっ みつき姉!」
真夏真っ盛りになりそうな熱い夏の日。
海開きも始まり、子供たちの長くて短い夏休みの中、
頑張ってお勤め中なのだが、今日はお休み。

久々の休日(ココの所ミニ四駆の設計やら発注に追われていた人)に
羽を休めようと2度寝しようとしたときにインターホンが鳴り扉を開けると
夏の空気とあつい空気が一気に琴に襲い掛かってくる。(みつきの部屋は今は冷房)
最初前を見ても人がいないと思ったがしたから「みつき姉!」と聞こえたから下を向くと
へへっと無邪気に笑う少年がいた。
「みつき姉ちゃん!今日俺の誕生日だぜ!」
「・・・」
すっかり忘れていた。今日は星馬豪くんの誕生日だった事を――――。
烈くんのときは覚えていたのだけれど、彼にはいえないな。
ケータイを一旦開けて確認・・・本当だ。
彼の誕生日である8月1日である―――――――







君とあたしと誕生日。










「みつき姉ちゃん?何処行くんだ?」
家を出て駐車場方面にみつきは歩を進める・・・
豪は?マークのままみつきの後ろについてきて前を歩いているみつきは
豪に言葉すらかけていない。
実際、彼女は???
「(どうしよう・・・)」
結構焦っているのであった(笑)
※みつきの頭の現在状況。簡潔にまとめてある。
●現在お金もない=給料日前。
●残金1万円=給料出るまでの生活費代。
●バイクの燃料が心配:中型バイクしか取っていない。
●ってか豪くんの誕生日プレゼントをリサーチしていない(重要)
●ゲーム希望な場合、生活費が軽くすっ飛ぶ。
●どうしよう、どうしよう、どうしよう!!!(焦り)

「・・・とりあえず、バイクの後ろ久々に乗りたくない?」
その言葉に不安げな表情を見せるどころか嬉しそうに笑う豪。
その顔にみつきはビックリしてしまった。
「本当!?あのバイクだよな!?」
「うっうん。」
「俺、みつき姉ちゃんのバイク久々だからワクワクするぜ!」
とまるで自分が運転するかのようにはしゃぐものだから、あっけらかんとした
表情になってしまった。
「(ぁ、豪と一緒にいるのが珍しいかも。)」
仕事に追われている現10代(19歳)の言葉(笑)
「早く行こうぜ! みつき姉ちゃん!」
「はいはい!」
駐車場方面を目指し100M先、エンジンをかけヘルメット(2個分)を
後ろから取り出し豪にヘルメットをつけてあげる。






「・・・とりあえずお腹すかない?なんか食べようか?」
「ホントか!?だったらパフェ食いたい!」
バイクを走らせて数十分。
流石にお昼という事だから飛び出したのはいいのだが、昼食を取ろうと
後ろで自分を捕まえている豪に話をかけた。
みつきの視点を見つつも走るバイクが見せる景色を豪は体験していた。
豪のはしゃぎの様子を聞いて「じゃぁ、ファミレスでも」と近くのファミレスに
立ち寄ろうと思った。
しかし、この時間は家族連れが多く待ち時間がそれなりにかかると
言われてしまい、 三月も少々くたくた気味である。
「みつき姉!めんどうだから違う所にしようぜ!」
「・・・うーん。でもちょっと待ってみようよ。」
みつきはとりあえず「ね?」と宥めてはいるが・・・。

豪の言う通りに店を変えようとしたときである。


「あら?みつきちゃんじゃないの!?」
「・・・ぇ?」
店の奥から女性が声を上げていた。
みつきは自分の名前が呼ばれた!?と驚きを隠せなくきょろきょろと
辺りを見回してみると豪が「あそこ!」と真っ直ぐに指を指した。
その場所には男性もいてその男性も見覚えが合った。
「ぁ、みつき!?それに豪くんじゃないか!?」



「「ファイター!!??」」










混雑する真昼のファミレス。
三月と豪は男女の席に相席をしていただいた。
男性はファイター。みつきと一緒でオフィシャル内で働いている人物であり
ほぼ毎日の確立であっている。
そして、女性のほうは――――豪が一番よく知っている人物である。


「せっ先生なにしてるんだよ!?」
「何って・・・ファイターさんとデートかしら?」
「たたたた!たまみ先生!?」
うふふ。と笑いながらグラスの紅茶を飲んでいる女性。
そのデートという単語にファイターはもう落ち着きながかっこよく
見せたいがためにコーヒーを頼み飲んでみたもののこのたまみ先生の
言葉一つでいつものファイターに戻ってしまう。
おそるべし、たまみ先生パワー。

席は2人から4人になったのでファイターの隣には会社友達でもある
みつきと・・・。たまみ先生の隣には自分の生徒である豪と隣になっていた。


「そうか、豪くん誕生日なのね!」
たまみ先生は隣に座ってる豪を見て笑顔で頭をなでると
その言葉をきいてファイターも嬉しそうな声が上がる。
「そうかー、じゃぁ僕がケーキでもご馳走するよ。」
「よっしゃー!サンキューファイター!」
ファイターの言葉で豪のテンションが一斉に最高潮。
みつきはその笑顔の豪をみて嬉しそうだが、ちょっとだが、
ぽっかりと穴があいたような感覚だった。











「うひゃー!食べた食べた!」
「まぁね。ファイターからは色々と高速用のモノ貰ったもんね。」
結局、たまみ先生とファイターのお陰でお昼ご飯なのはおごって貰い
ケーキも食べた後、ファイターからはマシンのパーツを頂いたのだ。
豪もその展開が来るとは思ってもおらずはしゃぎはもう天下一品。
図で言うならば天狗の鼻のよう・・・。
みつきと豪は2人の邪魔しちゃ悪いから、とそそくさとお邪魔したのである。
地面をリズムを取りながら豪は先に歩いているのを 三月は
微笑ましく見ている。




「みつき姉、今日はありがとな!」
「?」
たたっと先に歩いていたみつきに豪はにかっと笑いそう言った。
豪はバイクで先にヘルメットを付け豪にもつけ様としたみつきに「さっそくマグナムに
パーツつけにいく!」とはりきっているのだが、みつきは家に帰ってしまいそうになる豪の
手を掴んだ。
その時の豪がビックリしていて。
「まさか豪、もう帰るつもり?」
「・・・ぇ?」
にっと笑い豪にヘルメットを被らせみつきは「行くよ!豪!」と
バイクのエンジン音を鳴らし、豪を後ろに乗せた。





バイクを走らせて数十分。
青空だった空がもう綺麗な暁の色になり始めた頃
目的地に着いたようだ。
「ぁ、新しく出来た遊園地じゃん!」
「豪くんと遊園地行くの久々でしょ?」
「やったー!今日はいいことだらけだぜ!」
とまたまた笑う豪に「(連れてきた甲斐があった)」とみつきは思っていた。




*――――――――

「今日だけの無料パス遊園地チケットがあるから行ってくるといいよ。」
時間を少し戻して・・・。
たまみ先生と来ていたファイターにこっそりと隣で貰ったチケット。
豪の誕生日と聞いてファイターは烈の時のようにまた助け船を出していた。
「ぇ、いいよ。たまみ先生と行くんでしょ?」
「いいから。どうせまた金欠なんだろう?」
「・・・ぐ。」
「月末はみんなきついからな。先輩として奢らせてくれよ。」


な?とファイターが小さくウィンクするとちらりと前に座っている
たまみ先生と豪をみた。
なにやら今はたまみ先生が持ってきたマシンを豪が指導しているようで
こっちの会話はまったく聞こえないという状況なのだ。
だから普通に話していても相手からは全然聞こえないのである。

「じゃぁ、受け取りますよ。ファイター先輩。」
「そうしてくれ。ぁ、今日はそこの遊園地でイベントとかあるから絶対参加するように!」
「・・・絶対参加?」
?マークでみつきはそのチケットを受け取ると豪を連れて
「豪くん!行くよ!」と声をかけファミレスから出て行ったのだ。




――――――――




「すっげぇ〜。みつき姉ちゃん!ジェットコースターからかたっぱしから乗ろうぜ!!」
「OKOK!」
豪の手を連れて「遊ぶぞ!」と豪の合図と共に遊園地に足を踏み入れた。
ジェットコースター、コーヒーカップ、次におばけやしき・・・でもおばけやしきは
豪にはへっちゃらであるが みつきはちょいと苦手だった為、驚いてはいたが。
「(おばけやしきなんて烈兄貴が苦手だから入れなかったんだよな。みつき姉と来てよかった♪)」と
豪はるんるん気分で思っていた。
次にかがみの部屋などと言った小さなアトラクションなども豪と周り
遊園地の三分の一は制覇しかけた時。


「ぇ?観覧車?」
「うん。休憩もかねてね。」
「おっ、俺はいいよ!!」
「何言ってるの!豪くんがいないと危ないでしょうが!」
観覧車の前まで来た豪とみつき。
みつきは「のろう!」というのだが豪は必死に「俺いい!みつき姉だけ乗ればいいじゃん!」
とダダを捏ね始めた。
そう、豪は高い所が大嫌いなのである。
※勿論 みつきは知っているから言っているのである(イジメだ)
「そうかー、豪くんはもうちょっと大人だと思っていたんだけどなー」
その言葉につられた豪は観覧車に乗る事になってしまったのである。










外はどんどん暗くなってきていた。
そんな中、観覧車に乗ってご満悦な顔のみつきと早く回れ!と
願っている豪が乗っていた。
「豪くんえらいえらい」
「ひっ人事だと思ってー!」
と半分涙している豪を見て 三月はくすりと笑った。
これは昔から全然代わっていない豪。
みつきは窓をちらりと見るとみつきの瞳に光が入ってきた。
「豪くん」
「なっなんだよ。」
「今日ってマシン持ってきてるっけ?」
「・・・あぁ!マグナムな俺の相棒だからな!」
と豪はみつきにマグナムを見せた。
みつきはにこっと笑って「観覧車降りたらイベント会場に行こうか!」と豪を誘った。









もうすぐで遊園地が終わる時間。
遊園地にある「イベント会場」はヒーローモノを生で見れる
場所でもあり子供たちの溜まり場となっている。
しかし、今日の時間上考えればそんなのなんて真昼にやるのだからないのだ・・・。
だが今は違う。
ライトアップがすごくて見た瞬間一体何があるのかなんてわからなくて、
目が少しその光になれた頃、みつきと豪の瞳には映った。

「ぁ、きたでげすね!」
「とっ藤吉!?お前何してんだよ!」
そこには日本印の赤い丸が書かれている真っ白い扇子を持った少年がいて
豪はその少年の顔をみて声を荒げた。
その少年は豪の友達でもある三国藤吉という少年で御曹司である。
隣には彦佐がいて「お久しぶりです、はい。」とみつきの前に立って
ぺこりとお辞儀をした。

たまにみつきも三国家と仲良くさせてもらっているからか
覚えていてなんとなく不思議な感じである。
「ここは三国家の遊園地でげす。今日は豪くん!わてと勝負でげす!!」
「なっなんでそうなるんだよ!」
「いいから!やるんでげすか!?やらないんでげすか!?」
「・・・わーったよ!みつき姉!レースやってもいいか?」
「いいよ」
こういう意味だったのね、ファイター・・・
イベントというのは藤吉が今日はここでマシンを走行するというのを聞いていたからだった。
まっ、ただで遊園地に行かせてもらっただけでもありがたいと思わなくちゃ。



「みつき姉ちゃん!このパーツどうだとおもう!?」
たたたっとまた豪が来たかと思えばマシンを手にやってきた。
「・・・あぁ、豪のはこのままでいいけど・・・とりあえずこのシャーシを
・・・これに変えてみようか。」
ごそごそっとみつきのショルダーポケットに入っている新品のパーツに
豪は?マークだった。
「なんだ?こんなモーターあったっけ?」
「まだ公開してないんだけどね、公式でまだ試作中なんだけど、どうかな?」
「面白そうじゃん!試してみる!」
といいかちゃかちゃと入れ込んでいく。

「よしっ!藤吉勝負だ!!」
「でげす!」
「藤吉くん!豪!頑張れー!」



*



「いやー!天才はすごいぜ!」
かっかっかと笑いながらマシンを手にしている豪。
レースは豪が勝ち勝利のVポーズをしている。
「うーん、モーターの消費は高いかー・・・。」
「でもすっごく風に乗ってたし・・・このモーターいつ完成する!?」
モーターの結果に十分満足でもないみつきはそのモーターをマグナムから
外そうとするが豪の手が止めた。
完成予定を聞かれたので頭を掻きながら答えた。
「・・・一応未定だけど。」
「じゃぁ、このモーターもう一つある!?」
「一応。」
「それ頂戴!」
「・・・ぇ?!」
豪の手がみつきの前に出された。
・・・しょうがないなーという顔でポケットからもう一つのモーターを出すと
ぱしんっと豪が受け取った。
「よっしゃ!みつき姉サンキュ!」
「・・・大事にしなさいよ。」
「わかってるって!」

その笑顔を見れただけでも作った甲斐があるものだ。
帰るときにはもう豪は寝ていて・・・。
「かっとべー・・・まぐなむ。」とか寝言を言う始末。
手はしっかりとみつきを捕まえていてみつきはついつい笑ってしまった。
バイクの風がとてもこのあつい夏には涼しくて・・・。
「・・・さんきゅ、みつき姉ちゃ・・・」
「・・・(烈の様には何もあげられなかったけど・・・)」



おたんじょうび、おめでとう。
星馬豪くん。


夜帰れたのは深夜であり、今夜みつきは豪と一緒にベットで寝たそうだ。
(豪は 三月の家にお泊り)





Go Seiba
2006 Happy Birthday

Suzuno Asaka
Dream Novel 2006,0801


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