1999年8月1日。
その頃の日本は異常気象が多かった。
子供の頃のあたし達からすればそんなことはどうでもよかったのかもしれない。
でも・・・それはのちに大きな意味を持っているということなんて誰も思わなかった。


ピピピピ・・・・
定期的なアラーム音が聞こえみつきは新品のベッドに埋もれていた。
朝起きるのは正直苦手なみつきは目をこすりながらも起きてみた。
朝日が窓から差し出していて一瞬目が驚いたようになってしまった。
「ふぁ、よくねた〜。」
うーんと背筋を伸ばしてふとTVを見た・・・・。
TVの左端にある時間を見て、さぁぁっと顔が青ざめていく・・・・
「・・・ちっ・・・」
言葉が上手く話せない、そのくらいの衝撃だったのだ。
みつきは急いで学校に電話をするために受話器を手にするとすぐさま
学校に連絡をした。





Story Without Title
8月1日の出来事・・・キャンプ場で。






「いやぁ、よかったな 赤坂。保健の先生の車で送って貰う事になってな。」
「ごっ・・・・ご迷惑おかけします。」
しゅんっとみつきは元気の声が出ない状態だった。
みつきは学校に連絡するとバスは出て行ってしまった為どうしようと
考えてはいたが、保健の先生などが後から合流する先生達がまだ学校に
いるということもあり、みつきは学校に行き保健の先生と一緒にキャンプ場まで
いく事になったのだった。
保健の先生は女性でとても笑みが似合う先生だった。
みつきはその顔を見て安著した。
「よろしくね 赤坂さん。それじゃ助手席に座っておいてね。」
「はっはい!」
荷物は後ろのトランクに詰めてもらいみつきとその保健の先生とでキャンプ場を目指した。




「赤坂さんは転校生よね?どこからきたの?」
キャンプ場を目指す中先生は運転しながらもみつきに話し掛けてきた。
「一応最初は練馬方面に住んでたんですけど・・・両親のごったで色々と転校してるんです。」
「そうなの・・・。」
しんみりじゃないが先生は聞いてしまっちゃいけなかったのかもというのを思ってか
言葉が続かなかった。しかし、みつきはそれが「悪い」というのではないため
普通に答えただけなのだ。
「でもお台場方面がなじみがあるので・・・帰ってきて正直嬉しいんです。」
「・・・そう。」
そのみつきの言葉で先生との空気が変わった。
ほんわかになったというかなんというか。言葉でどう言い表せば言いのだろうか。

「それにしても、貴女可愛いのにボーイッシュな格好しているのね。」
今日のみつきの服装はズボンをベースに上に羽織るものと黒いTシャツ。
首からぶら下げてあるロケットペンダントであった。
「スカートとかはけばいいのに。」と呟くが「だって似合うわけないんですもん。」とか
言ってみる。
髪の毛も一つ結びにしてポニーテールのようにしている。
それとオプションって感じで赤いキャップ帽を持ってきていた。
みつきの小さな探索リュックにはキャップ帽子と飴玉
少量のチョコレート・スケッチブックと鉛筆
少量ばかりの小銭とちょっとサバイバル感がほしくてかサバイバルナイフを所持してみた。
スケッチブックはメモ帳みたいに小さいから楽々と入っていた。



「・・・もうちょっとでキャンプ場ね・・・ね・・・赤坂・・・さ・・・」
隣の助手席に座っているみつきを見ようとしたが先生は視線を外した。
みつきが静かに寝息を立てていたのだ・・・他の先生達から聞くと昨日引っ越してきたばかり
だと言っていた・・・それで翌日はサマーキャンプという企画に出るのだ・・・。
疲れてて当たり前だと思った先生は起すことなくキャンプ場を急ぐのをちょっぴし
スピードを落としつつも目的地へと確実に向かっていた。

車の振動がみつきの眠気を誘ってしまったのだ、
そして車の中で聞いていた人気のアニメ曲のED・・・
しっとりとしたバラードの曲が 三月の耳に残っていた――――――――








ここで気が付けばよかったのだ、
昔聞いて御伽話が頭をよぎったことを――――――








ゆさゆさとみつきの肩が揺れる、目の前には先生の顔があった。
「わっ!」
「起きたー!大丈夫?」
太陽の日差しが少し目に染みたのかみつきが車から起きた瞬間の顔は
とってもアホ顔だったのだろう・・・先生がいる前で一つ欠伸をしてしまった。
するとみつきの目の前に先生から一つの冊子を渡された、
「サマーキャンプの日程表」とかかれている・・・。
「貴女の班のリーダーはたしかその丘の上を上っていけば会えるからね。」
「あっはい!」
たたっとみつきは御神渓谷という立て札をみてにっと笑った。
今、自分は本当にサマーキャンプに来ているという実感からか・・・
みつきは早く仲間を捜したく足を踏み入れた・・・その時、「冷たっ」と
みつきと同い年の女の子が声をあげたが、みつきは先生が「丘の上で待っているリーダー」を
捜さなくてはということで頭が一杯になっていた・・・。






ひらり・・・・
ひらり・・・
ひらり・・・・


「・・・つめたっ。」
みつきもようやくその冷たいものが空から降ってきたという事をしった。
降ってきたものは夏休みのモノと季節がかけはなれているものだったのか
みつきは口がふさがらなかった。
雪?
「・・・雪って・・・季節違ってるんだけど・・・」
だんだん吹雪になっていくことがわかっているのにみつきは
そのツッコミをしなくては気がすまなくなっていた。






吹雪になる前にみつきは一つの祠を見つけたのかたたたっと足を急がせ
祠に足を踏み入れた。
薄暗くて、見えないが誰かいるみたいだった。
一人じゃない、というのは視線が 三月に釘付けになったからか、分った。
複数だと感じた時・・・目の前に少年が一人。
「あの、すいません・・・」
「はっ・・・はい!!」
一番に見えたのはオレンジ色の長袖シャツが印象な少年だった。
手にはノートパソコンが起動してあって今インターネットに繋いでいる最中なのだろうか?
その少年は一瞬驚いた顔をしていたがみつきはにこっと笑いながら
「ちょっと止むまでいてもいいかな?」と言ってみると
「ええ。」
とその少年との簡単な会話が終了した。






吹雪が止んだのは数十分だった。
祠にいた少年と少女達がいっせいに外に出て行った。
・・・・正直寒さには弱いみつきにとってまだちょっと出たくなかったのか
体育座りをして下を向いていた。
「(さっ寒い)」
その時、一人の影がみつきの前にあらわれた。
顔をうつむいていたからみつきには声しか聞こえないのだが・・・
「おい、大丈夫か?」
心配そうな声で、しかもその声が男の子だった・・・

「だっ大丈夫、だから・・・ちょっとそっとしておいて・・・」
しゃべるが寒くて声があまり出ずに言葉が途切れ途切れだったが
少年には聞き取れたのか「わかった。じゃぁ外で待ってるな!」といい
祠の外へと出て行ってしまった。
お礼をしようと思っていたが今のみつきにはその選択肢は頭の中にはなかった――――


みつきはちょっと寒いのか予備にもってきた薄着の上着を羽織って
外に出てみようとしたときだった・・・



ドーン・・・ドーン・・・・ドーン・・・






何か・・・地割れのような・・・隕石が落下したような音が外から聞こえきた。
それと、さっきの少年の声も混じっていたのに気付きみつきは跳ね起き
祠を出たときだった、
一面の銀世界に驚きつつも・・・
少年少女、7人が何か手に持っている―――――
そしてそのモノから光が放出していて、それと同時に水面が目の前一面に
広がって・・・・あたしはそれに飲み込まれてしまったのだ。
あたしだけではない、あたしを含め8人の小学生が巻き込まれてしまったのだ。






目の前に広がるジャングルのような、そうでないような世界を目の当たりにした
あたしは、ただ・・・呆然とするしかなかったのだった。
先ほどと違う風がみつきの身体を包んでいた――――――



Suzuno Asaka
Dream Novel 2006,1209


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