俺達の隣の姉貴は昔はすっごく乱暴で
よく俺達の家に来て朝食をちゃっかりと食っているヤツだった。


「遅いんだよ!豪!烈!」



現在、その姉貴、みつき姉ちゃんは俺達の本当姉貴ではないが
とっても尊敬してる。
俺達をよく知っていてくれる!





兄弟分な俺達









「って、なんでだよ!?」
「なんでって・・・」
「豪!遅刻するぞ!」
烈、兄貴の声が俺の耳に届いた。
いつもの朝・・・なのに・・・
俺はそれよりも、母ちゃんよりも、テーブルの上に置いてある
食パンをかじっているもう一人の存在に驚きを隠せなかった。
「?」
その名前、
「豪・・・気が付かなかったのか?」
「・・・ってかなんで烈兄貴は驚かねぇんだよ!?」
みつき姉ちゃんが?マークで見ているがにっこりと笑って
「おはよう!」と笑っていた。

「そういう意味じゃねぇ!なんでみつき姉ちゃんがいるんだよ!」
しかもちゃっかり!と驚きを説明していた。
その時、自分の母である良江がぼこんっと豪の頭を強く投げた。
その豪の頭をがつっんと石の音が聞こえたような気がした。
といっても・・・聞こえたのだが・・・。





「何いってるんだい豪。みつきちゃんが来て何が悪いのさ。」
と良江は隣で食事をしているみつきと顔を見合わせる。
みつきはふふふっと笑って豪の前へとやってきた。
「なっ・・・」
なんだよ。豪の次の言葉にみつきの手が豪の頬へと止めた。
久々に触れられたみつきの手は自分の手よりも大きくて…


「豪くん!早くしないとたまみ先生に怒られちゃうぞ♪」
時計見てごらん!とTVニュースの右上の時計を見るとぞぉっと
豪の背中が悪寒を走らせた。
「ちっ…遅刻だぁぁぁぁぁ!!」
ランドセルを持ち豪は食事も取らずにさっさと玄関で靴を履いている烈を
呼び止めていた。
「じゃぁ、みつきさん、いってきます!」
「はいは〜い。」
「みつき姉ちゃん!帰ってきたら勝負しようぜ!」
「はいは〜い。」
烈と豪の元気な声を聞いたみつきは良江と顔を見つめた。
そして良江は「さっさとご飯食べてね!」と言い良江も遅くながらも
みつきと一緒に朝食を頂いた。












みつき姉ちゃんは俺達の隣のお姉さん(19)だが
俺達が小さい頃から一緒で今よりもすっごく…そう!
怪獣みたいな野性人みたいな、そんな奴だったのに
今はなんでも頼れる、しかも現在ミニ四駆の仕事についてるんだ!
しかも、今じゃ俺達に「くん」付けるほどやさしいし。




「豪。今日はみつきさんとレース申し込んだのか?」
豪の兄、烈と学校の通学路を歩いていると烈は豪にみつきの話題を振ってきた。
その質問に豪はにっとわくわくしている顔になってて…
「当たり前じゃん!みつき姉ちゃんからNO1奪ってやるんだ!」
「…(無理だと思うけどなー)」
実際、豪も烈もみつきとレースをした事は沢山あったがみつきには勝ったことがない。
そしていつもみたいに
「今回もあたしの勝ちだね!」とにっと笑い豪と烈の髪の毛を
くしゃくしゃにしてしまうのがいつものパターン。



豪は一回も勝った事のないみつきを抜かしたいみたいだ。



「いつものかっとびみせてやるぜ!」
「…いつものコースアウトはくれぐれも気をつけろよ?」
わかってるよ。豪は兄の言葉に毒を持ったのを知ってべー!!と
舌を出しながら兄よりも少し速いペースで学校へと行こうとしたが
烈もそれに気がついたのか豪よりもちょっと速く足を動かした。
兄弟、成長なし。







*

午後の昼下がり。
星馬家で黄色い声が1つあがっていた。
その声の持ち主は星馬家の家族ではない女性:みつきだった。
みつきは一冊の重たい本みたいなのを広げて頬を押さえながらにやにやしている。
良江とお茶のみをしていた最中に押入れのネタになぜかなり
良江が「そうそう!」と嬉しそうな顔で押入れからアルバムが出されてきた。
アルバムのタイトル:『3歳の烈と豪と10歳のみつきちゃん。』
「懐かしいー!」
「でしょう?これがみつきちゃん。7歳の時に烈が生まれたのよ。」

ぁ、8歳のときに豪も一緒ね。と付け加えながら。
写真はちょこっと古びているが笑顔で笑いながら小さい烈と豪を
宥めているみつき 。
その他にも幼稚園の運動会の時に借り物競争の時の写真。
なぜだか、
・2人の兄弟から両方の手を引っ張られている、驚くみつき
・みつきの右腕を必死で引っ張る烈
・みつきの左腕を負けじと引っ張る豪…の1枚。

「なんで2人に引っ張られたんでしたっけ?」
「さぁ。2人とも結局あたしにも見せてくれなくてね。」
と良江さえもわからない豪と烈の借り物競争の紙。
昔話に華を咲かせていると「ただいまー!!」と元気な声が玄関先に響いた。













「みつき姉ちゃん!約束守れよ!」
「勿論。あたしのマシンも負けないよ!」
庭のコースよりも土屋研究所を使わせてもらえることになった豪とみつきは位置につく。
土屋研究所にいたリョウ・二郎丸・J・烈も2人のレースを観賞しようとしていた。
「レディー・・・」
ゴー!!




聴いた瞬間にみつきと豪のマシンは2人の手から離れ
長い長いコースへと吸い込まれていく――――。




















俺はみつき姉ちゃんはすげぇと思う。
だって、俺とマグナムをぞくぞくさせる走りをするから――――。
追いついてもコーナーで抜かれたり、直線で対立してくる。
笑いながら「頑張れ!豪!」って言ってくれる…、俺を呼び捨てで呼んでくれる。
むかつきも感じない、『絶対追い越してやる!』と思える。
烈兄貴もすごいけど、兄貴もを凌駕するみつき姉ちゃんは―――


やっぱり俺達はライバルでもある姉・兄弟なんだぜ!
なっマグナム!












「ゴール!」
「まだまだだね!豪くん。」
俺の頭をぐりぐりと嬉しそうに乱暴に撫でるみつき姉ちゃんが好きだ。





「次こそ勝ってやるぜ!!」
身長も・このマシン勝負も!!
豪の顔がとても輝いていた。


Suzuno Asaka
Dream Novel 2006,0329


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