今日の夜は専門学生の友達と飲んでいて
帰り道、スーパーに寄ろうと信号が青だと気が憑いたので
みつきは走っていった。
カンカンカンカン・・・・
やっと渡った瞬間何かにつまづいたのかみつきの視点が下へと下がった。





「みつきさん、大丈夫?」
目の前に出された手に正直みつきは驚きを隠せなかった。
自分のダイスキなミュールが壊れてしまい持っていた
バッグが路上にと散った。
化粧ポーチやサイフやケータイなどをしょうがなく拾っていると
メガネをかけていて綺麗なブルーアイの瞳をもつ・・・
「ウラタロス・・・。」
どうしたの?という不思議に思ったウラタロスの顔に優しい顔が
灯りみつきの左手を優しくすくうとみつきを軽く立ち上がらせた。
「今日はラッキー・・・じゃないんだね?」
「だね。」
みつきはウラタロスに包まれていた手を離し一歩後ろに行こうとすると
がくんっとまるで階段1段踏み外したかもように片足がこけた。
「手を貸そうか? みつきさん?」
「いや、大丈夫大丈夫・・・」
「には・・・見えないけど?」
笑って言うウラタロスにぐいっとみつきはウラタロスの襟首を捕まえて
むっとした顔を剥き出しにしていた。






「モモタロスにして。」
「・・・え?」
「正直ウラタロスだと怖いからモモタロスだったら安心する・・・んですよ。」
正直みつきは良太郎が一番いいのだが多分良太郎が寝ている時に
憑依したのだと考えたみつきはまだモモの方がいいらしい・・・が
その言葉をきいたウラタロスは気に食わない。
自分よりも先輩のモモを選ぶというのが・・・。
「・・・そんな暇はないから我慢してよ、みつきさん。」
「ちょっ・・・ウラタロ・・・」
ふわっとみつきの身体が浮いた瞬間みつきが今日着ていた
ロングワンピースが揺れた。
お姫様抱っこしながら歩いて数分、コンビニの目の前についた
ウラタロスとみつきはウラタロスは階段にみつきを下ろして
「待っててくださいよ?」と笑って念押しした言葉を残しみつきから離れた。

「・・・(ウラタロスを毛嫌いしすぎてる。)」
最初は苦手、という程度だったのに今回はとことん毛嫌いしているのが
目に見えていて、自分がイヤな人に見えてくる。
でも、なんでか好きになれない・・・。






「ごめんね、先に帰っちゃって。」
みつきをコンビニ前の階段上に下ろした張本人ウラタロスは
何かを買っているとケータイ電話がなった。
電話に出てみると怒っている女性の声が聞こえて
めんどくさいなぁ、と心で思っているのを出さずに
声は哀愁じみた声で対応をしつつも目的のモノが見つかると
携帯の会話を続けながらもレジに足を進める。

『だって、今日折角会えると思ったのに。』
「また今度埋め合わせするからさ・・・サユリも夜は気をつけて。」
『うん・・・わかった。』
買い物終了と同時に会話のほうも終了したウラタロスは
出口へと足を運んだ。
さっきウラタロスが夜の町に出かけた理由が自分がキープしている
女性とのデートだったのが丁度待ち合わせ場所でみつきとであったのだ。
「(う〜ん、みつきさんってやっぱり嫌われてるって・・・)」
わかりやすいよね・・・と静かに思っていると階段に座っている
みつきの後姿が目に止まった。
みつきとは近づいてみたいと思うのに・・・ほんとに、釣れない彼女だ。









「みつきさん。お待たせ。」
「・・・」
目の前にきたウラタロスの手に持っているのはシップで
中身を取ろうと開けてみつきに「足を出してもらっても良い?」
といわれたので素直に素足を出すと真っ赤になっている場所に
シップを貼ってよし、とウラタロスがほっとしたとき
ふとみつきの口からポツリと言葉がウラタロスに聞こえた。
小さくだが、慌てたようにいった言葉だが・・・
「ありがとう。」と。
俯いていたがそれだけで全てが吹っ飛びそうだった。
「いーえ、どういたしまして」
「!やっぱり自分で帰る。」
「え!?ちょっ・・・ちょっとみつきさん!?」




素直になっちゃ・・・もうだめかも・・・・。
と思った専門学生のみつきは足を引きづりながらも
帰っていきましたとさ。
・・・しかし、足が痛くなってミルクディッパーにお泊りということで
結局の所ウラタロスと一緒にご帰宅だったそう。
「・・・みつきさん?」
「(これって釣られてないよね?大丈夫だよね?)」






とっておきの魔法の一言。






(あれ?みつき ・・・どうして今日ここに泊まってるの?)
(あ、足が痛くなっちゃって・・・あはは。)
(大丈夫?・・・もうシップ取れかかってるよ・・・新しいの持って来るね。)
(ありがとう・・・良太郎。)
どん、柱にぶつかった音にみつきは驚いて振り向くと
すくっと起き上がった良太郎・・・・・・じゃない。
あのメガネをかけなおす仕草とかメッシュが青いのとか・・・
(また付け替えようか?みつきさん。)
((・・・なんで良太郎じゃないの・・・・))
昨日も今日もウラタロスのペース・・・・。









Suzuno Asaka
Dream Novel 2007,0811



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