呉の国にいて既に数年も経っていた。
旅人だった自分を置いてくれた・・・仲間がいる。
守ろう・・・・護って見せ様・・・・



「・・・!みつき姉!いるか!?」
「?凌統どうした?こんなに朝早く。」

朝の光がこの家ににも当てってきていて鎧に身を包みながらも
窓からの日差しに目を通している少女:みつきを呼ぶ
少年の声がすぐ近くから聞こえていた。
今日もいい天気だ、と思った瞬間からこの元気な声を聞くのは日常茶飯事の
事にでもなってきている。
しかし大声なのか身体はわかっていても驚いていた・・・。

凌統公績・・・にししと笑いながらみつきの目の前に来て「おっはよ!みつき姉!」
と子供笑顔を見せてくるから・・・
「おはよう。朝から元気だな凌統。」
と頭を撫でながらも笑えるのかもしれない。



「みつき姉、あのな・・・孫権が呼んでたけど・・・」
「?わかった・・・とりあえず・・・?凌統、彼は?」
「え?・・・あぁ、兄貴?」
いつも来る時には元気いっぱいの凌統の後ろに静かに笑っている青年
陸遜がいるのだが、今日は みつき の視界にさえも入ってこない。
兄貴命な凌統がさっきまでの笑顔と離れてちょっと拗ねたような顔をした。

「兄貴はまだ寝てると思うんだよね。昨日から呉で色々と変な事が起こってるからさ・・・
「そう・・・か。」
「?みつき姉、まさかさびし」
「さ、孫権殿が呼んでいるのなら私も行かねばね。」
「なっちょっみつき姉!!」

みつきは自分の刀を腰の鞘に収め
自分達の主君でもある孫権の元へと向かった。
青空が広がるこの地に戦が起こるなんて解らないものだ。
つくづく・・・人というのは強欲だとおもう・・・と思うときがある
でも―――――




「おはようございます。みつき殿、凌統殿。」
「はよ、呂蒙。あれ?太史慈は?」
最初に孫権の場所まで行こうとした時に書物を沢山抱えている呂蒙と
なにやらちょっと前までその呂蒙と話していたメガネをかけている男:瑾子瑜が赤い絨毯
しきられている廊下に立っていた。

凌統と みつき を見た2人は気が付いたようで2人に近づいた。

「太史慈将軍は自分の隊の訓練とかでいないのですよ。」
「ふ〜ん、そっか。」

最近みつきも凌統も太史慈と呂蒙というペアを
ずっとみていたからか瑾子瑜と一緒というのは
どうも不思議さを残したのかもしれない。



「二振りの刀は今日は所持していないの?」
「え?あぁ・・・さっき鍛冶屋に預けてしまって・・・みつき殿。」
にこっと笑顔で書物を持ちながらいう呂蒙に「おやおや、」とメガネをかけなおして
瑾子瑜は怪しい笑みを浮かべて「青春だね、呂蒙殿?」と言った時

「みつき」と呼び捨てで みつき を呼ぶものがいた。
綺麗な長い髪の毛に装飾品を付けていて透き通るような声に誰もが後ろを向いた。

そこには自分達が護る主君:孫権がいて、そして横には威厳な顔をして孫権の隣にいる
周瑜はじっとみつきを見ていた。
ざっとその場にいたみつき以外の人間達は孫権を見た瞬間に顔を下にしぴしっと背中が張り将軍以下の皆は端に移動した。







「(皆えらいなー、あたしには無理だけど。)」

ちらりと余所見をしていた時に目の前には優しい笑顔をしている孫権の顔があり
ドキリ、とみつきの鼓動を動かした。
顔が正直まっかになりそうなのを みつき は抑えている。

「遅くなって、申し訳ない・・・孫権殿。」
「みつき。私の事は呼び捨てでも構わないと言ったのに・・・」

悲しそうに言葉を交わす孫権は みつき をみた。
この顔と声に正直弱いのは、女の子としてどうだとうか、とみつきは思う。
彼は男であり孫策の後を継いだお方。なのに孫策は男っぽいのに彼は違う。
自分よりも女の子らしい、と言ったら絶対彼に怒られてしまうであろう。


「で? みつき姉も呼んだけど、孫権・・・・なんかするの?」

代わりというようにみつきと孫権の間に割って出た
凌統は目の前にいる孫権にいうと
孫権は微笑んで凌統の頭を撫でた。
子供だというのを強調された気がするが凌統の
孫権の後ろにいる周瑜に何をされるか
わからない為静かなのだが・・

「今日の夕刻に皆で新しい武将達を祝おうと思って皆さんを呼んだんです。
みつきも来れますか?」
視点を一旦目の前にいる凌統からみつきへと変わる。

「ぁ、大丈夫ですよ・・・」
「よかった。では夕刻にお待ちしてますね。」





「みつき姉、俺達は契りを結んでるんだ。 みつき 姉は俺の家族だ、兄貴も。」
「「凌統」」

酔っている凌統がぽつりと零した言葉は陸遜、そして みつき の心に酷く痛んだ。
未だ少しだが凌操将軍(父親)のことを痛んでいる・・・。
顔には出さないが みつき も相当辛い。自分も実の父親のように接していたから。
普通の女子だったら泣いて喚けるが、自分は武士として生きると決めたからには
心の中で、ただ泣くしかなかった。
しかし、頬を赤くして凌統は笑った・・・。

「俺、父上が護ってくれたように・・・兄貴も・・・ みつき 姉も護るから・・・。」








呉の国にいて既に数年も経っていた。

旅人だった自分を置いてくれた・・・仲間がいる。

守ろう・・・・護って見せ様・・・・





「みつき姉!大丈夫か!!!」

「みつき殿、行くぞ。」





この命尽きるまで、敵に切り刻む風になろう。

生きて見せ様・・・自分の名が呼びつづけるのなら生き続けよう。

必要な時まで護って見せ様。


これが今の自分の・・・
絶対存在理由



Suzuno Asaka

Dream Novel 2007,0521


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