「ねぇ、みつきもそう思わない?」
友達の稲葉郷子はいつものツインテールな髪の毛を
なびかせながらも目の前でそういった。
正直いていなかった自分としては「何を?」ともう一度言わせられなく
なってしまっていた。
ねぇ聞いてる?と郷子が言ってくれるも何も答えるきが無くなっていた。
長かった5時間目も終わり、まばらに帰るクラスメイト達が
みつきの視界に入っていく。
「あ?みつきってばきいて無かったでしょう?」
次に美樹が分かっているような口ぶりにみつきは苦笑いをするしかない。
「まったく、みつきってばぬ〜べ〜のことスキなのね!」
「え!?そうなの みつき !?」
「え?郷子知らなかったの?分かりやすいわよ。みつきって変な趣味よね。」


美樹、それは私に対して失礼じゃありませんか?
先生はともかく、私はいつでも正常かつ常識人でございます。






遠くて近い存在





5時間目も終われば放課後へと変わり、一層童守小学校は賑やかになっていった。
同じクラスの広や郷子たちはその足でどっかへといってしまいみつきだけは
職員室前へと足を運んでいた、足取りは、軽やかに。


職員室前まま、みつきは来ると扉を静かに開けた。
どうやらクラブ活動で先生たちは出払っているようだ・・・
ある人だけを除いて、みつきはその自分が
会いたいと思っていた男がいてちょっとほほが緩んでしまいそうだ。




「鵺野先生、失礼します。」
とりあえず自分の呼ぶ先生の名前を言うと彼は気がついたのか
おっ!と声をあげこちらへとやってきた。
「おっ、書き終わったのか?・・・あれ?広はどうしたんだ?」
あるノートを鵺野先生に渡すとおや?という疑問の顔に鵺野はなっていて
そのノーチにある今日の日付、日誌の字をみてぴくりと
彼の特徴的な繭が眉間に皺を寄せていた。

今日の日直 立野広/赤坂みつきと書いてあるこのノートの字は明らかみつきのだと
わかると目の前にいる本人に問いてみる。
「あ、広はサッカーしにいっちゃいましたよ。」
しかも今日練習試合なんだって。と彼女の明るい笑顔に怒る気にもならなくなってきた
担任教師の鵺野:通称ぬ〜べ〜だったのである。

「いつも悪いな・・・」
苦笑するぬ〜べ〜をみて帰ろうとさっさと後ろを向くとまだ暇だろ?といい
隣の椅子をカラカラとみつきの方へと転がした。
なんで暇だってわかるんだろう・・・そう不思議に思いながらもみつきはしょうがない。
と観念した顔をしながらも椅子に腰を落とした。

「さて、生徒が来たんだから何かやってもらおうかな。」
「え・・・」
「そうだ、遠足のしおりがあるんだ。俺がホチキスでとめるから
みつきはそろえて俺に渡してくれるか?」
「それって先生がやるんじゃないの?」
「う・・・」
「・・・・しょうがないな・・・特上北海道ラーメンで許します。」

とほほ、と泣きそうな顔を浮かぶぬ〜べ〜を見た気もするが、それは気のせいだ。
そう思いながらもさっさと仕事を終わらせようとみつきは手をテキパキと動かしてみせた。
・・・どれが先生と生徒なのか・・・と思わせるような風景である。




半分終えたとき、みつきはやっと自分たちが作っているものに
改めて目を向けることになった。
たしか鵺野は遠足のしおりといっていたがどこへ行くんだろう。
このしおりを作るといった先生はなにやらお茶を出してくれてもう一度椅子へと座り
背伸びをしていた。
自分も一度手を休めてもらったお茶に口を落とした。
「遊園地・・・ですか・・・。またみんながはしゃぎそう。」
「だろう?今回は5年の対抗体育で見事1位だったからな。」
そう、1ヶ月前に行われた5年だけの対抗体育祭があり、校長から豪華優勝商品と
いわれ5−3の魂に火をつけた一つ。
そして、見事優勝し今回の計画をみつきが先に見せてもらった・・・というわけだ。。
「それでだ!いつも頑張っているみつきに全員で乗る
場所の候補を一つ選んでもいいぞ。」
「!?いいの!?」
「あぁ、お前は頑張ってるからな。」
ご褒美くらいやったってバチは当たらないだろう?
そういって鵺野はウィンクをすると
みつきの瞳はよりいっそう光って見えるようだった。




「だったらジェットコースターがいいな・・・。」
ここの遊園地は有名なんだ!とうれしそうに言うみつきにそうだなと肯定する鵺野に
またクスリと笑った。
「あ、でも空中ブランコでもいいな・・・あ!でもそしたら鵺野先生は乗れないか!」
体重制限あるんですよ!みんなで乗れるものはないかなー・・・と彼女なりの本気は
鵺野も笑わせた。
「あ!ぬ〜べ〜笑ったでしょ!」
「!」
「ん?・・・なに?」
「いや、初めて俺を『ぬ〜べ〜』って呼んだなって思ってな。」
「!?」
さりげない言葉にみつきは一瞬言葉がでなく、きっと鯉みたいに口をパクパクと
させているんだろう・・・正直目の前の人に見られたくなくてみつきは
下を向いた。恥ずかしすぎる、まさか、ここで!?と恥ずかしさは増すだけだ。

「?どうした?気分でも悪いのか!?」
「っ!ちょっと用事思い出したんで・・それじゃ!」
「あ!乗る場所決めて来いよ!」

ランドセルを持ち、一切も振り向きもせずに、みつきは職員室から出て行った。
取り残された鵺野はうーん、とまた考え事をしてしまっているようで
あと10冊分の過度、そろえられていないしおりをじっと眺めていた。







決めていた約束を自分で破ってしまった。
うれしかったから。
「(『ぬ〜べ〜』っていうのをもうちょっと鵺野先生と
お近づきになるときに言おうとしたのに。)」
(だって貴方は雲みたいに消えてしまうくらい遠い存在なんだもの・・・
先生としては・・・どうなのか・・・)

「あら?みつきじゃない・・・どうしたの?」
昇降口にいくと雑談していた美樹達と偶然出会ってしまった。
みつきの真っ赤な顔にそんな顔を見たことがない広・克也・郷子・マコト達は呆然としていて美樹は
にやーっと笑いながらみつきの方まで近づいてきた。
「なに?ぬ〜べ〜と何か進展でもあったのかしら?」
「なっ!」
「え!?みつきってぬ〜べ〜好きだったのか!?」





自分の仲間にぬ〜べ〜にしおりを手伝わされて時間が無駄になって
お稽古に遅れてしまったから急いでいた。
と言い訳したら小学生の広や郷子・克也・マコトは
なるほどね、といってくれたが(ちょっと克也とかは疑問並べていたが・・・)


美樹だけは気づいているのかもしれない・・・・。
先生に恋してしまった小学生はどうすればいいのでしょうか?



2009/02/11 Suzuno Asaka Dream!!


prev next
bookmark back


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -