赤坂 みつきというくのたまは実は成績優秀な3年生だというのを
あの三郎から後から教えて貰った。
しかし、思えば赤坂 みつきという単語はどこか片隅で聞き覚えていた・・・
それもそうだ、三郎が一番可愛がっている後輩のことだったからだし
雷蔵は図書委員会でみつきとよく図書の貸し出しで覚えたり、兵助は兵助で
頭がいいからかよくくのたまでもある彼女が兵助に勉強を教えて
貰っていたらしいからだ。
俺だけが、彼女をまるっきし知らなかったのだ。


「なんだか俺位なもんだったんだな。」
「そうだぞ、みつきは美味しい豆腐の。」
「そうじゃないだろ兵助。みつきは努力を惜しまない天才だ。
成績優秀で、大人になったら美人になるだろうな」
私の妹が毒牙に掛からないか心配だ。という何やら三郎の妹自慢みたいに
なっているがそこはスルーして・・・・・

彼女を意識しだしたらまるで視界が少し広まった気がする。
彼女は生物委員会にたまに顔を出したりしていたり
廊下や食堂で実はたまにあっていたり、実は身近なところにいた。



だけれども、本当にすごいと思ったのはくのいちの実習をたまたま
自分たち――忍たまとかぶった時だった。
みつきの綺麗なくないの使いこなし、火縄銃の時の命中率といい自分よりも全然
忍びに向いているものだと思った。ぞくりとしたのを今でも忘れない。

「(一緒に組んで見たい。)」
其の姿に感動して竹谷はくのたまと忍たまの合同授業の際に三郎と
変わって貰ったのだ、其の時の彼女は最初にあった時よりも
少々子供らしく膨れていた。よほど三郎とのペアがよかったのだろうな・・・と思いながらも
自分だって、彼女と同じ位対等でいられるが見て見るチャンスだったのだ。


だが其の時の実習でみつきはすごいヘマをしてのけたのだ。
だけれども、体力には自信のある竹谷と同等に付いて来れる所とか
涙を貯めてがんばる姿は、やっぱり尊敬に値するものだった。
「(3年の時、まだ俺大泣きしてたかも・・・)」



そんな俺は、みつきを意識が一気に高まったのだ。
彼女と合う回数もそれから多くなり、話すようになった。
俺は誓ったのだ、彼女よりももっともっと上を目指そうと・・・自分が
彼女を一緒に肩を並べられて「あたしも竹谷先輩とペアになれて嬉しいです。」
と言ってくれるその日を。


俺は君と同じ肩を並べる日をずっと心待ちにしていたんだ。
だから俺は君に向かって走っていた。






「なあ、みつき・・・顔を。」
「やです。」
なんで、なんで・・・どうして・・・ずっと頭の中でずっと其の言葉が
浮かんでは消え、自分に問いかけ続けていた。
お酒も今の状況で一気に酔いが消えるほど。
三郎だと思って涙を出して、兄のように心配してくれた三郎に弱みを見せていたのに
その胸を貸していたのがあたしが突き飛ばした、竹谷八左ヱ門だったからだ。
下をずっと向きながらもみつきは手を離せとか、身体を離せとかいってみるも
竹谷はむしろ存在をアピールするように力をこめて離しはしないと無言で訴えていた。
頭の中がまだパニくっている中、彼はみつきの手を押さえていない左手で
背中を撫でてきた・・・
人の体温は、なんでこんなに落ち着くんだろう、と思いながらも
彼をちらりと見ると、どう言葉にしていいのか判らないという顔をしていて
顔が少しだけ赤かった。
「・・・ごめんな・・・俺が変に傷つけたみたいだ。」
「・・・」
「俺、お前をみて・・・お前をずっとここ一年追いかけてきたんだ。」
「・・・へ。」
「みつきも、追いかけてくれてたんだろ?」
恥ずかしくて言葉が紡げない・・・なに、何が起こるの?
「うん、俺みつきが好きだわ。」
「・・・は・・・い?」


彼は何を言っているのだろう、空き?スキ・・・鋤?
「鋤だったら喜八郎を呼んでください。」
「〜〜〜!なんで鋤なんだ・・・しかも喜八郎はお呼びじゃない!」
と半分怒鳴りながらもいう竹谷をみて、ぽかんとした顔は未だに解かれていなくて
頭の思考回路がなんとなく可笑しいみつきは、かあ・・と頬が染まった。
そういう意味じゃないのか、と思いながらもやっと竹谷が怒鳴っている意味がわかった。
「(あたし、竹谷先輩・・・好き?だから追いかけてた?)」

「そのさ、友達からでもいいんだ・・・ちょっとだけでいいから
足を止めて俺と肩並べさせてよ。」
そしたら、同じ歩数で一緒に追いかけっこをしよう。



にかりと笑った彼の笑顔はやっぱり、あたしの好きな・・・追いかけたいと思わせる
大切な人のしるしだった。
「(スキです、竹谷先輩。)」


(がむしゃらに追いかけるのはやめて、あたしは無理をしない程度に
彼をおいかけることにした。)

2010.10.05 ごねごねん様に提出


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