監督生に対しての好感度が10のアズールさんに
目を付けられちゃう。


唐突ですが、最近オクタヴィネル寮監督生のアズール先輩に
目をつけられている気がする。
これは自意識過剰なのかとも思ったが同じクラスの
エースとデュースにも見えるらしくなんでだろうと
頭を悩ませた。


…一番に思う事といえば、彼がオーバーブロッドしてしまい
彼の幼いころの写真をみたからか?
また契約を持ち込まれるのでは?と考えるだけでサッと顔が
青くなる。







「…あの、アズール先輩ワタシに何か契約持ち込もうとしてません?」
「…!失礼ですね、そんなことはありません」

お昼に大食堂に行けば最近はよく合うのはオクタヴィネルの寮長。
偶然ですね、と最初から3回目まで食事を一緒にするときは声をかけてきたが
今は普通に隣にきて「みつきさんは今日は何にするんですか?」と
眼鏡の奥のきれいな瞳がオンボロ寮のみつきを見ていた。
先ほどの質問をしたら即答で返されてしまった…しかもちょっとびっくりしてるし。

大食堂でパンとスープと必要最低限のものを手に取った瞬間
開いているトレイの隙間に置かれたのは緑黄色野菜…が入っている小ぶりだが底が深いボウルである。
しれっと、しれっと隣にいるからか入れてくるアズールをみて
困惑をしなくなったがいまだになんでここまでするのか不思議でしょうがない。


理由は単純明快。
「こんなのばっかり食べていたら脳の働きの質が悪くなりますし、なおかつ太ります」
「…いや、ワタシここに来たから太ってないんですけど…
っていうか野菜高いですし」
「気になるんです。いいから受け取りなさい」
「…はあ」

対してのアズール先輩が手に取っているのはパスタと自分が
渡したよりも多めに入っているサラダボールを取っている。
いまだに体系には気を付けているところが彼らしいといえば彼らしい。




「あ、新作のプリンアラモードだ…」
「…」
つい独り事がぽろりとこぼしてしまった。
透明なデザートグラスに入っているのは黄金のプリン。
そしてプリンの上にはホイップクリームが乗っておりなおかつ赤いチェリーが
ルビー色に輝いている。
なおかつプリンのかこっているのが今回は色んなフルーツがのっており
≪今週限定デザート≫という札までついているのではないか…
一瞬脳内の思考が一時停止するレベルの迫力である。



「(いや〜、アズール先輩となりにいてこれを食べる勇気ないんだけど…)」
しかもちょっと予算オーバーだからとさっさとテ―ブルへと足を運び
アズールよりも先に座りテーブルにどうせ彼が来るんだろうと思い待つこと数分。

「先輩おそか…った…」
テーブルにやっとやってきて長椅子に腰を落とした彼を見てさらに思考は停止。
銀髪の眼鏡の先輩が頼んだトレーの中に見えるのは
サラダとパスタ、そして…先ほどどうしても自分が食べたかった
プリンアラモードである。
「先輩、どうしたんですか…」
絶対こういうの受け付けないひとだと思っていたのに驚いた。
高カロリーであるのにそれを消化できるようなことが
モストロ・ラウンジで行われるのか…とも思ったが

「あなたが食べたそうだったので、悪いですか?」
「…うぇ!?ワタシにですか?」
「僕が食べるはずないじゃないですか」
「…えええ」
動揺がまた言葉から漏れる。
ガタガタと持つ手が震え、うまくスプーンでスープも口に運べやしない…。
とりあえず好きなものから食べるというのをモットーにしている
ワタシはデザートから食べるか、と思いアズールから受け取る。
綺麗な、むしろ芸術作品に近いこれを食べれるなんて…
そう思いながらいただきます、のポーズをして一口…
美味しい、美味しい…
生クリームもこってりした感じではない。
どちらかといえば大人向けのほんのり苦味すらも感じた。
それが生クリームで少し抑えてくれている…甘さが足りなければシロップで
漬けられたフルーツを一緒に食べればうまさは倍増である。
幸せだなあ、とほっぺに手を添えて自然と笑みがこぼれてしまう…



そんな顔芸をみてなのか、彼は少し顔が硬直したのをみて
ワタシも硬直した…すごい顔芸をしてしまったのではないかと。
「美味しかったんですか?」
「…え、ええ」
「なら、僕に一口ください」
「…あ、どうぞどうぞ〜っていうかアズール先輩が買ったものですし」
はいどうぞ!と自分のところに置かれたデザートグラスを
隣にスライドさせるが、彼はワタシをじっとみるだけで
デザートには手を付けない。
何をしているんだろう、と思ったがその考えた言葉を見透かすように
彼は真顔でいってのけたのだ。


「何してるんですか。早く僕にください」
「…え、私が…あああ、はい」


わがままである。非常にわがままである。
そうおもいながらもスプーンにプリンとフルーツがのっかった
のをアズールの口元に運ばせた。
するりとスプーンに乗っていたプリンは吸い込まれ
一瞬だけどきりとなぜか、してしまったのである。

「(っていうかここの寮長たちって綺麗な顔してるからどきっとしちゃうよね〜)」
どきりとした理由をアズールだけではなく寮長に、という考えにいたる。
リドルやヴィル・男前でかっこいいとおもうレオナたちを見ればきっと
それに値するのだろう…。
そう思っているうちに食べ終えたのかふむ、と
考える顔でアズールは考えている顔になっていた。


「…意外にも甘くないですね。ちょうどいいぐらいです」
「そうですよね、確かに男性でも食べられる甘さですよね」
「…そうですね、僕もそう思いますよ」
「そうですよね!」
美味しいですよね!
素直に言ったその言葉と笑顔のまま先輩のアズールに伝えると
彼の顔はいつも見せる企んでいる顔ではなく
少し朗らかな顔にワタシはこの人に何があったんだよと
その日の夜、モストロ・ラウンジで働いているリーチ兄弟に会いに行くことになる。


プリンアラモードの妖精がいるのなら、彼に何か魔法をかけたのでしょうか。



2020.0608


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