青い深海と呼ぶのだろうか。
先ほどの小さいアクアリウムにいた中よりも彼の薬で彼らと同じ位の大きさになった。
同じくらいになるのか、とおもったがちょっとだけ
身長が足りなく彼らを見上げるような感じになっている。


髪の毛がとても長かったがその薬の成果
きれいに纏められ綺麗な装飾品もついているのか
チャラチャラとした音が聞こえる。
黒髪の髪の毛は一つにまとめられ、瞼の上には薄い赤いアイシャドウが
のっかっている。キラキラと細かいラメが入っているのか
彼女を見るときの表情がよりも輝いて見えていた。

大して彼女、みつきはキラキラと太陽のおかげで光る青い世界に身震いがし、
そして口角が上がるのを
止めることなどできず、ヒレがとても喜びを素直に表現していた。


それをみて一番に声をかけにきてくれたのはターコイズの君事
ジェイドであり深海に連れてきてくれた彼の姿が少し変わっている。

「とてもよくお似合いです」
頬に手を添えられ冷たいこの手が本当に心地がいい。
彼らもいつもみている風とは違う。


ジェイド・フロイドは足が尾ヒレに、
何回かこの海の中を通っているときにいた人たちの形状と似ている。
しかしアズールについては出会った頃のまま、そのままの姿である。
「アズールさんは変身なさらないのですか?」
「僕はいいんです」

「アズールもジェイドも抜け駆けずるくない?」
「あ、フロイドさんも」
彼も優雅に泳いでないにしろみつきの顔をみて両手で冷たい手で両頬に添えている。
「やっぱり小エビちゃんは人魚の姿も似合うねー」

くるくると体を自由に動かしていたフロイドがやってきた。
にやりと笑いながらみつきの身体に引っ付いてみせる。
いつもであればアクアリウムをずっと眺めていたフロイドの対応には
みつきからすれば過度なスキンシップみたいなもので恥ずかしいのか
顔が真っ赤になってしまっており、その顔をみようと両手を素早く
フロイドは隠そうとしていたのを阻止して見せた。

「なにー?小エビちゃんの顔みせてよー」
「いやです!ハズカシイ!」

下を向いてヒレでバシバシをたたいてやろうと思ったが予想以上に
フロイドの尾ヒレのほうが長くてんで効果がなさそうだ。
真っ赤な顔になっていたが周りの綺麗なサンゴ礁に目がキラキラと輝く。


魔法の力で珊瑚の海までやってきた。
そして初めて知る事実だった。
…この3人は人間ではなく人魚だったということ。
持っていた万年筆などで魔法が使えること…
初めて聞く単語なはずなのに多少「理解」できるのは今魔法のおかげなのだろうか。
魔法は不思議だ。








時間を戻すがみつきが小さなアクアリウムの中にいたときよりも
姿が大きくなったのはアズールの薬があったからこそだ。

小瓶の中は透明だがキラキラと金色の粉がクルクルとまっていて
みつきの顔はその金粉の粉が舞うのが楽しいのか笑顔であった。
ジャムの瓶にはいったままのみつきの前に置くと
ツンツンと人差し指でみつきは小瓶を触った。

「これは、数時間だけ貴方の身体が大きくなります。
僕たちみたいな大きさになる感じですかね」
「そっそんなお薬があるんですねー」
それはそれは、とみているとアズールはおいた小瓶を自分の手の中に戻した。
その視線は小瓶に向けられており目が合ったアズールをみて
ドキリと心臓がはねた気がした。
そんなことを知ってか知らずかアズールは眼鏡のブリッジを一回さわり
彼女の顔をじっと見る。

「今回はお試しという事でさせていただきますが…もし
貴方がまた深海で泳ぎたい、もしくは」
「…」
「なにか願い事がありましたら対価次第で叶えてあげられますよ」


願い事…
その言葉はまるで知らない自分に入ってきた一種の麻薬なのかもしれないと
その時のみつきは思わなかったのだ。










綺麗な珊瑚礁に綺麗な様々な魚たち。
遠くをみてみれば博物館みたいな建物もあった。
その建物の近くにはみつきは同じ人魚たちがいて余計に目を光らせていた。
まるで田舎からやってきたものみたいな、そんな動きをするみつきをみて
ただただ面白いのだろう。
後ろでみていたジェイドは口元が笑っている。

フロイドはフロイドで久々に珊瑚の海に来たからか買い物をしてくると
行動を別にしていた。みつきの行動を見ているのはアズールとジェイドである。
「アズールさん!あの博物館みたいなのは何でしょう?」
指さした場所を見た瞬間アズールの顔は少しだけ眉間にしわが寄った。
その皺をよった姿を見られたくないからか小さく頷いた。
「あそこはアトランティカ記念博物館です。観光の一種になってるところですよ」
観光名所というところもあるのか!腕を胸にやって興味津々な態度が
手に取るようにわかる。
そんな彼女の興味についてジェイドは笑顔を張り付けたまま話始めた。
「今日は定休日みたいですから中には入れることはできませんが、
またきっと来れますよ」
「そっそうですよね…」
肩にぽんと置かれた手に驚くこともなくみつきは隣にいるジェイドをみることなく
視線の先の胸弾ませる気持ちを抑えることに必死だった。
その熱い眼差しを逃すはずがなかった…。





数時間後、魔法薬の能力が切れて150cmくらいあった
身長は切れてしまいまた親指くらいの小ささに戻ってしまった。
綺麗な髪飾りも魔法だったのか動くいてもあの時のような軽快な
音はせずだった…。
みつきが元の姿に戻るとアズールが持っていたジャムの瓶をみて
彼の元へと戻っていく。
テンションの落差が分かりやすい…そんな彼女に対価の話を持ち込むことも
できるが
「(みつきさんから来るのを待つのが、一番ですね)」
ジャムの瓶に素直に入るところが、なぜかまだ手に入っていないはずなのに
支配下に置いているようで感情が高ぶるのを感じた。
そのほのかに黒い感情が何かというのはなんとなくわかるが
3人の人魚は言葉にすることなどしない。

そんな3人の思惑など、みつきは知ることもなく
運命の日を迎えることになるのはあともう少し…。

…また戻るのか、
一度覚えた快感と感動のせいなのか、いつもいたアクアリウムが
一種の牢獄にも見えてくる。



そしてアクアリムの中にいた赤い赤い金魚があの中から
消えていた。
その二つの喪失感はみつきの心にぽっかりと穴が開いたまま…

2020.0527


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