新宿といえば都会の中心部でもある。
今日も仕事でバタバタの独歩は今日も終電を気にせずに仕事をすすめていた。

「あのハゲ課長、言ってることが違うんだよ・・・」
パソコンのブルーライトが目にしみる。
ハゲ課長という上司の尻拭いを今日もしていると思うと目がくらみそうだ。
眉間にしわが寄り、一層隣に置いてある
パウチ型エネルギーチャージを求めてしまう。

しかし、ここで使うわけにはいかない。
後の地獄が目に見えているからだ。

ぶつぶつと呟く小さな愚痴も
今この広い会社にとけ込む。

そして誰もいないため異様なほどの静けさがある・・・はずだった。



「独歩さんよ〜貴方だけだよ会社の退勤カード押してないの。」
諦めの声かと思えば茶化している風にも聞こえる声色。
みなくても、相手はわかる・・・
[総務部:鬼の赤坂]
同じ動機でありながら女子としてはなかなかの働きっぷりと聞く。


というよりも、独歩には敵に見えるのかもしれない。
一二三よりもある意味うるさい。

「・・・みつきさんも大分根詰めてるんですね」
「・・・いやいやいや、独歩さんにだけは言われたくないんだけど」
ああいえばこういう。
総務部とはなかな他部署合わないと言うのは
どこの会社も同じなのだろうか。


ずっとパソコンばっかり見ていた独歩の顔が
突然の訪問者のみつきを見上げる。
みつきの顔はつかれきった顔などなく
なんとなんと笑っているではないか。

いや、これは、人の様子をうかがいに来ている総務特有の顔である。


むしろ「社畜」を見て楽しんでいる顔だ・・・
この世に悪魔が来たのかさえも思える。



「今日は定時であがる予定だったのに貴方の帰社時間がこんなだからですよ」
同期じゃなきゃ見捨てます。
・・・いやこれ絶対思っていないだろう。
即座に独歩の中に答えが入ってくる。

「あとこんな時間だけどお客様が来てるよ」
「・・・?こんな時間に客?」
普通の会社なら確実に定時に帰っているはずなのに(強制的にだが)
明らかにオカシいそう思ったときだ
「独歩ちん〜!!」
「!?ひっ一二三!?」

ついに疲れて幼なじみの男の幻想でも見ているのか!?と思えば
そうではないらしい。
この部屋にはありえない匂いが漂っているからだ。

それはおいしそうな唐揚げの
油の匂い、そしてみつきが持っているのはコンビニのおにぎりである。



・・・ちなみにだが一二三とみつきは
何回か認識があって、今の所女性という認識ではなく俺の同期というくくりらしい。
ホストという職についているのもみつきは知っていて意外や意外。
偏見とかはないそうだ。

「ちょうど休憩で独歩の会社みにいったらみつきっちがいて
、聞いてみたら今日も残業って知ったからね〜」
勝手にもう退社してない隣のデスクに一二三はためらいもなく座り俺をみる。

ああ、うるさい。
しかし、確かに時間も時間で。
匂いというのは恐ろしい。
かいだ瞬間人間は食が勝るらしく
俺の腹はすでに限界を迎えていて俺の許可なく音を上げた。







「あれ?みつきっちネイルかえた?」
「さすが一二三くん!ってかそれも職業柄?」
みつき・一二三も持ってきたものを食料を広げた。

会社のウォーターサーバーの水を飲んで二人の会話を独歩は聞いていた。
今の話はみつきの指先のネイルのことで話題が振られている。
一二三がそういっていて改めてみてみれば指先は先月あたりは
もっとぴんく色のネイルだったがモスグリーンになっている。


「一応ホストとかやってると自然と覚えてくるんだよね〜」
それってほめてる?って一二三は笑顔でいうと彼女もつられて笑っている。

「緑・・・それってなにかのジンクスな訳?」
まだ少し暖かい唐揚げを一つ独歩は口に放り込んで質問をしてみたら
彼女は先ほどの笑顔から真顔になった。
そしてまたにやりと笑う表情がみえた。


「そう、緑にはあるジンクスがあるの。」
「へ〜どんなのがあるの?」
一二三がそういうとバッと彼女が
手を前に出してにかりと笑う。
まるで戦隊ものの特技を見せるメンバーのように。
「緑ってアンラッキーカラーって言われていてね・・・。
次の総務でいい評価がもらえれば先輩を抜いて昇進!みたいなんだ」


?オカシい話だ。
アンラッキーからといっておきながらなぜ勝負するのだろう。



「それって何か願掛け?」
「っていうか、このアンラッキーカラーで勝てたら怖いものなしじゃない?」
「・・・みつきっちって、本当におもしろいっスね〜」
一二三は不思議な顔をしてたが独歩は変な奴だな、位にはおもえた。
自分のことをここまでいじめる奴もいるのだな、と思ったが


ふと自分もそんなたぐいの人間なのかもしれないと
背中から悪寒が走り身震いがする。

「独歩ちんも大変だけどみつきっちも大変なんだね」
「そんな人を寂しい人間みたいにいわないで」
「同感だ。」
ここだけは意見の一致がしてしまうのも
また社畜な人間の性なのかもしれない。


「でも一二三くんが来てくれたおかげで美味しい物にもありつけました」みつきはにこっと笑い一二三は携帯をもってまた眠れぬ街、
新宿のネオンライトに誘われていってしまった。
楽しかったっスと太陽のような笑顔と飛び抜けて高い声が耳にこびりつく。
その反動からかまた先ほどの静けさに戻り、予定通りまた仕事へと手をのばした。

みつきといえば「総務の権限」という
条件で(勝手に)向かい側の席へとすわった。
「・・・なんでまだいるんだよみつき」
「今日の総務の当番なんで」
「・・・・終電なくなるけど?」
「その時はどっかに泊まるからいいわ」
早く手を動かしてちょうだい。
と先ほどの印象と大分変わり声が凛としている。
監視の目があるが早く終わらせて
やろうと躍起めいた感情が動き出した・・・。

・・・だがしかし。唐揚げとおにぎりで空腹から脱却しその満足感からか眠さがくるのを感じる。
少しだけ、瞼が重たくなりよけいに腹に入れてしまったのを後悔した。



「(一気に入れたのがまずかったな・・・)」
キーボードが正確に打てているかも不安になってくる。
大体は終わったものの少しばかりの不安がある。
瞼が鉛のように重たいのを感じていたが前にいる女が一体どうなっているのが書類の間から見てはみた。

「・・・」
変に静かかと思えば書類の隙間からみていたが
書類を退かしてみつきの後ろに来た。
うつ伏せになっていると思えば小さな寝息。
パソコンはご丁寧に付いていてそれを見てみれば

会社の他部署評価の総務のページである。
そこには丁寧にも「観音坂 独歩」というページ・・・
許可なく見てはいけないものと知りつつ彼女が独歩につけた
表記欄が目にはいってしまった。





残業時間について改善要。
ただし会社への貢献度は高く会社の唱和にある人材である。

そのほかにも部の事をマイナスな意味で
これでもかという風に記載されていて良い気持ちがしないが・・・。

そのたっだ2行の文に気持ちがどくりと高鳴る。
スーツは少ししわになっていているにも関わらず
うつ伏せでも気持ちよさそうに寝ているではないか。
顔は少し使えれているのか


少しよれたアイシャドウ。
半開きになっていたリップに目がいく。
ドクドクと心臓が破裂しそうな感じ・・緊張にもにたこの気持ちは何だろう、
疲れから来たものなのかなんなのか。
いや、気にしたら負けなきがする。

頭を一度冷やして来ようと携帯と残しておいたブラックコーヒーを手に持ってフロアから一度出ていった。








つい寝てしまった。
・・・?なんで寝てしまっている?
さあ、と頭で会社・独歩の事を
思い出した。
みつきはばっと伏していた顔をあげてみた・・・みたと思ったが
「おや?起こしてしまいましたか?」
「・・・えー・・・と、寂雷先生、ですよね?」
「君と会うのは2回目かな?」
よく覚えていたね。
と独歩よりも低い声の男性、
神宮寺寂雷がなんと車を運転しているではないか。
助手席であまり認識も浅い男性の隣で寝ているとか何事だ?!と

思っていたら「独歩くんなんだけど・・・」と彼の方から声がかかった。

「彼仕事が終わらないから君を迎えに来てほしいといわれてね。」
「・・・彼にですか?」
「そうですね。患者である彼というのもありますし・・・丁度急患の用事で車を使用していたので」
そういってウィンカーを出して寂雷はだした方向へと進んでいく。
新宿の街を改めてみた。
ネオン街、まだ明かりが消えないオフィス・・・
「彼は、とても貴女の事を大切にしているんですね」
穏やかな、優しい低い声は不思議と安心した。・・・ん?
「え?いやいやいや、私と独歩くんは・・・そっそう!!家族みたいなものです!!」
「・・・家族、ですか?」
不思議という顔をミラー越しでも気が付く。なにをいってるんだ?と言われているようだ。

「では独歩くんと一二三くんが息子で、みつきさんは私の娘みたいなものですかね?」
いやいや、どうしてこうなるんだ。
年齢そんなに20も離れていないのに・・・なんて色々と
突っ込みたくなる衝動を押さえながらもそんな体力にはなく。

家族構成についてはなしている神宮寺寂雷の話を聞きながらもうすぐ2時になる眠らない街「新宿」から出ることになる。


翌日、独歩は遅刻ぎりぎりで会社に出社する事になり
みつきはジンクスを突破できず昇進はできなかったが切れる

「チェックの鬼赤坂」という変なあだ名が付いてしまったのであった。


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