一人で帰ってきた。
なんでって、置いていかれたから。
約束があるとか何とかで、『あとで電話しろ』とか偉そうに言い放って自分はさっさと帰ってしまった(すげえ偉そう)。

風呂に入って、飯食って、明日提出しなきゃならない宿題を片付けて、何時ものようにトレーニングなんかしてたらあっという間に時間は過ぎてしまう。
なんか疲れたしもう寝るかな、と思ってベッドに目をやると無造作に投げられた携帯が目に入る。

チカチカとメールの着信を知らせるそれを手に取り画面を開く。
速水と浜野から釣りの誘いのメールが来ていた。
とりあえず明日は寝たいから行かない、と返信。
携帯を閉じると急に睡魔が襲ってきて、頭の隅で南沢さんに電話しなきゃならなかったことを思い出したけどそのまま眠ってしまった。


『…出ねえのかよ』
現在午後12時過ぎ。電話しろと言ったくせに何度掛けても留守電で、なんか胃の辺りがむかむかしてきてベッドにダイブした。

そのまま眠っていたらしい。不在着信がある。約30分の間に7件も。出なかったくせになんだよ、と思ってたらまた掛かってきた。反射で通話ボタンを押してしまう。

『もしもし』
『なんすか、7件も着信入れて。しつこい、うざい』
『お前が掛けてきたんだろ』
『アンタが掛けろっていうから…つーか何してたんすか』
『ああ、ちょっと友達ん家に』
『へえ意外。友達いたんだ』
『…お前、何、怒ってんの?』
『怒ってねえよ、しね』

一方的に切って携帯を投げ捨てる。少し遠くでまた2、3度鳴った。しつこい。

『…まじでしつこい』
『今お前ん家の前なんだけど』
『メリーさんかよ』
『寒い。入れろ。先輩命令』
『切りますさよなら』
『典人』


『電話でなくてごめん。入れて』
『………やだ』
『…ごめんって』
『……うるさい、うざい、ばか』
『…典人、『鍵』』


『…鍵開いてるから、入ってくれば』


オレの機嫌をすぐにとってしまうから、オレは南沢さんが大嫌いだ。









おわり
長いわりにぐっだぐだ




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