猫みたいだな。


そう言ったらすごく嫌そうな顔をされたあと、大袈裟な溜め息をつかれた。

『意味わかんねえ』
『そのままの意味だぞ?』
『んなこた分かってんだよ!』

似てねえっての、と呟いて不動はベッドに横になる。

『……源田のにおいする』
『む、すまん…』
『違うって。ムラムラする』
『えっ』

思わず固まった俺を見てくくく、と小さく笑いを溢してから身体を起こす。
猫みたいな目に見下ろされて、何故か頭がぼんやりとしてしまった。

『げーんだ』
『……はっ、意識が飛んでた…すまん、何だ?』
『にゃん』
『はい?』

不動はいつの間にかベッドから降りていて、俺の前に座っている。
手首を曲げて、それこそ猫のようにしながら今度は上目遣いで見上げてくる。

『不動、』
『なーに』
『猫みたいだな』
『かわいいだろ』
『ああ』

思った通りに頷くと、不動の猫目が一瞬真ん丸になってすぐにまた細められた。

『…げんだ』

細い指が俺の身体をゆっくりとなぞる。
くすぐったいような感覚にうわあ、と間抜けな声が出た。


『俺のこと拾ってくれよ』


『…?…どういう意味だ?』

不動の言葉がうまく理解できず聞き返すと、抱き着かれた。そのままもふもふと頭を撫でられる。

『……お前は犬みたいだよな』
『い、犬?』
『ほら、わんって言ってみろ』

ホレホレ、と頬を引っ張られる。

『ふ…ふろお、いはひ(不動、痛い)』
『躾だよ躾!わんって言ってみ、幸次郎ちゃ〜ん』
『……わ、わふ(わん)』

なんとも間抜けな声と顔である。
不動は喉を鳴らして笑いながら俺から離れまた戻ってきてキスをした。
一連の流れが早すぎて、俺はぽかんとしたままだった。
段々と思考が冴えてくるとキスをされたことが嬉しくなってなんだかニコニコしてしまった。

『お前ほんと犬みてえ超面白い』

腹を抱えて笑う不動の笑いのツボが気になって、先程気にしていた不動の言葉などはもう頭の隅にもなくなってしまった源田であった。








おわり

続かないから打ち切る
題名負けした




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