ひたすら天井を見つめて、もう何時間経っただろうか。

少し前に電気を付けに立ったこと以外はずっとこんな感じだった。
静まり返った部屋には雑誌を捲る音と時折の衣擦れの音しかしない。

音をたててるのは俺じゃない。
ノックもせずに人の部屋に上がり込んできて、図々しくもベッドの上を陣取り、買ってきたばかりの雑誌を俺より先に読んでいる奴だ。

『咲山』
『ん、何?』
『それ、俺読んでないんだけど』
『分かったネタバレはしない』

そういうことじゃないんだけどね。

『…辺見』
『なんだよ』
『来いよ』
『は?』
『だから隣』
『………』

ぽんぽん、と座るべき場所を叩いて示し俺を見る。
俺は適当に距離をとって座る。
するとまた名前を呼ばれた。

『何この距離』
『何って』
『もっとこっち』

ぐいっと腕を引かれて身体が傾く。仕方なくその場に座り直すと、肩に頭が乗せられた。

『…咲山さん重いんですけど』
『んー?頑張れ』
『な、撫でんなよお…』
『いいじゃん2人なんだし』

返答に困っていると、何、照れてんの、なんて聞いてくるから、(あれだぞ、別にそんな、図星とかじゃないぞ、ただ、)顔が熱くなってきて、思わず膝に顔を埋めた。

『なんでお前そんな余裕なの…』
『お前が免疫無さすぎなの』

また撫でられた。むかつく。
一言悪態でも吐いてやろうと思って顔を上げたけど、目が合った咲山がめちゃくちゃかっこよかったからやめた。










おわり

ぐわーあまいよあまいよ



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