「最近どうよ」

視線は指の先の情報端末へ向けたまま、どこか昔っぽいマスク越しに言葉が投げ掛けられた。
昼過ぎなだけあって、そこそこ客の入ったファミレスの一角。今日は珍しく2人。

「どうよっつーのは?」
「言わなくても分かんだろーよォ、源田とに決まってんだろ」

真面目な学生とは形容し難い容姿の二人組が互いの恋物語を議題に駄弁っているとはなんとも旨くない。
だがこれがオレ逹が会った時の鉄板となりつつある上柄にもなく盛り上がってしまうのだからどうしようもない。

「まあ変わらずってとこ」
「まだかよーーー焦らすなァーーー」

対した進展もなかったので正直に答えると、唯一覗いている右目がつまらなさそうに歪んだ。
焦らすというか、実際のところ相手側が進ませてくれないのだからこちらこそ焦らされている。
そういうお前はどうなの?進んだわけ?とほぼ形式化した質問返しをすると、咲山はそれまで弄っていた携帯を置きオレを見た。

「………聞きたい?」
「…なにそれ進んだってこと?」
「あーでも大したことじゃないしなー」
「気になるだろ言えよ」

随分と勿体振った様子に思わず前のめりに問い詰める。
その反応を待っていたとでも言うように実はさァ、と咲山が小声になる。


「昨日イイとこまで行ったんだよ」


イイとこまで行った。その表現に好奇心を煽られる。

「んだよォ、どこまで、詳しく」
「昨日俺ん家に辺見が来たんだけどさ」
「へぇ」
「アイツ普通に俺のベッドの上座るからさァ、なんかこう、な」
「なって何だよ、分かるけど」
「まあまあ、それでさ、こう向こうも嫌がらなかったから」
「ほォ」
「ゆっくり押し倒して、キスして、いざ本番!…って時に辺見の携帯が鳴りやがって」

絵に書いたような事の運びように思わず吹き出してしまった。

「お前それほんとかよ」
「それがほんとなんだよ。しかも相手成神でさ」
「うわ最悪」
「だろ?無視してたのに余りにもしつこいから俺が出ちまったよ」
「おもしれぇなそれ」

そのまま押し掛けて来た成神にぶち壊され終わったらしい。
咲山逹も惜しいところまで行ったものの、まあまたお互いに進展はなかったということで。
丁度よく飲み終わったドリンクバーの空のグラスを二つ残して、オレ逹は店を後にした。


「不動さァ」
「あ?」
「頑張れよもっと」
「おい笑わせんなよ」
「すまん」
「じゃあなまた部活で」
「おう次はお前のかわいい幸次郎ちゃんの話期待してるぜじっくり聞かせてくれよ」
「てめえ明日覚悟してろ」



あーーーー楽しかった。
明日は部活か、その前に

「源田ん家いこ」







おわり
仲良し左組




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