みのりかリズム


4人でテーブルを囲み、向かい合って座る。

「まだ覚えてっかなー」
「俺、初めてやります…」


4人が今からやろうとしているのは、昔流行っていた『みのりかリズム』というゲーム。「〇〇から始まるリズムにあわせて」というお決まりのフレーズは、きっとどこかで聞いたことがあるはず。

「よっしじゃあおれからねー。んーと、つる、のり、あつ、でOK?」
「おー」

このゲームでは、リズム内に名前を収めなくてはならない為、必然的に名前を二文字程度に省略することになる。
ほんじゃやりますか、という浜野の言葉を合図に全員がリズムを刻みながらあのフレーズを唱えた。のだが。


「「「かいから始まるリズムにあわせて」」」
「はまから始まるリズムにあわせて」


「待て待て待て待て」
ゲームを制止したのは倉間だ。

「浜野お前今なんつった?」
「え?『はまから始まるリズムにあわせて』?」
「おかしいだろうよ!なんでお前だけ苗字なんだよ!!」
「「確かに」」

速水と南沢も気になっていたようだ。

「えっ?えっ?あ、おれ『海士』か!浜野じゃねえじゃん!あ、浜野だけど」
「頭大丈夫か」
「倉間うっさいよ!よし気を取り直してもう一回!」


「「「「せーの」」」」


今度は難なく揃い、ゲームが始まった。



「つる3っ」
「つるつるつる」
「ブッwwwww」
「ひぃッ?!」

突如吹き出した南沢に、思わず速水が小さく悲鳴をあげた。

「な、なんですかあ」
「おまwww何wつるつる言ってんだよwwwwwフフww」
「はあ?」

どうやら速水の『つる』がツボに入ってしまったようだ。

「確かに面白かったw」
「く、倉間くんまで…」
「そういう倉間も『のり』だけどなwww」
「なっ…うるせえよ『あつ』のくせに!」
「『のり』だよ『のり』!なんちゃって〜」
「「全然面白くないけど浜野が言うとそれっぽくてムカつく」」


暫く言い合った後ゲームを再開したが、何度やっても速水の番で南沢が笑い出してしまってキリがないので、結局苗字に変更になった。


「くら7」
「くらくらくらくらくらくらくら。みな8」
「みなみなみなみなみなみなみなみな。くら5」
「くらくらくらくらくら。みな1」
「「「「うーみな」」」」
「くら4」
「くらくらく「ちょおおおっタンマ!!」」

長い間我満していたらしい浜野がツッコミを入れる。

「何ずっと2人でキャッチボールしてんの?!おれ達1のときしか仕事ないよ?!」
「「どうしてもコイツを一番にツブしたくて」」
「そういうのいらないから!!」


互いにメンチを切り合う南沢と倉間と、2人に不満を訴える浜野。
騒がしい3人越しにすっかり暗くなった空を見て、今日も平和ですねえと速水は呟いた。









おわり




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