キリスト聖誕祭


『かんぱーい!』

いつもとは違って、飾り付けがされた部室。
その中で、帝国サッカー部のメンバー+αが集まり、なんとクリスマスパーティーが開かれている。

『あ、鬼道、飲み物いるか?それとも何か食べるか?』
『佐久間…自分で、やるから…』
+α、というのは鬼道のことである。
日程的なことが決まる前から既に鬼道を誘うと言って聞かなかった佐久間は、常に鬼道の側を陣取り誰にも譲らない、といった様子だ。
鬼道が到着した瞬間『鬼道の私服ktkr』と言いながら鼻血を出した佐久間に少し引いてしまった鬼道は、佐久間から一定の距離を取ろうと必死である。


『辺見せーんぱいっ!』
寺門と話していた辺見にヘッドロックを決めるように抱き着いたのは成神。寺門には洞面が飛び付いていた。

『お、おえっ、死ぬ…』
『せんぱあい、クリスマスプレゼント下さいよお』
『…しぬ、ちょ、たすけ…』
『え?センパイがプレゼント?やだなあそういう笑えないたたたた痛い痛い』
『何してんだお前は』

辺見が昇天する寸前で咲山がやって来て成神を引き剥がした。

『た、助かった…マジで死ぬかと思った』
『咲山センパイ、今いいとこだったのに邪魔しないでくださいよ』
『全然いいとこじゃねえよ、俺のいない所でちょっかいかけるな』
『だってプレゼント欲しかったんだもん』
『そうか。なら短冊に書いてツリーに吊るしてこい』
『それ七夕だからね、咲山』
『いやもう何枚かあったから』
『『マジか』』


不動はじっとツリーに吊るされた短冊を見つめていた。
どうやら各々の欲しいものが書いてあるらしいそれらは、クリスマスを履き違えて理解しているお坊っちゃまがいることを語っているように見える。
ざっと見ただけでも5,6枚ある【鬼道】は、佐久間だろう。
他にも何枚か短冊は所々に吊るされている。

『あ!!』

大きな声を出したのは、不動に飲み物を持っていこうとしていた源田だった。


『皆にプレゼントを用意していたんだった!』


『佐久間!』
『なんだよ、オレは今鬼道とうわっ!』
『メリークリスマス!』
押し付けられた袋の中にはもこもこしたペンギンのスリッパが入っていた。
『ぺんぎんんんんんん!!!!』
『鬼道にはこれ、』
『ああ、ありがとう。…フォトフレームか、使わせて貰うよ』

『成神、洞面、メリークリスマスだ』
『わあ、源田センパイありがとうございます!』
『何貰ったんだよ?』
スリッパを抱いた佐久間が成神の背後から袋を覗き込む。
中からは洞面と色違いの耳当てが出てきた。
『ちょww耳wwww当てwwwwwwwえw』
『何なんですか佐久間センパイ』
『おまwwだってwヘッドホンのwwww上からwwwすんのwwww?』
『う…るさいな、耳当てするときは外しますよ!』

辺見にはこの間壊れたと言っていたから目覚まし時計、咲山にはiPodのケース、など皆それぞれ良いものを貰ったようだ。
さすがに、五条が綺麗にラッピングされた『メガネのシャンプー』を受け取った時は爆笑が起こった。



『ふ、ふどう』
一人離れた所にいた不動の元へ源田が駆け寄る。
『あ?なんだよ』
『あの、これ、よかったら』
差し出されたのは、他の部員の物に比べるとかなり小さい袋。
中にはシンプルな緑のストラップが入っていた。

『あ、あのな』
源田がごそごそと何かを取り出す。

『実は、おそろいなんだ』

取り出した携帯電話には、青色のストラップがぶら下がっていた。

『…まあ、もらっといてやるよ』


笑い声は夜遅くまで続いていた。













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