003 =====

 鴇矢くんはあのあと家に帰った。俺のことをすごく気にしていたのだが、「帰ったら何か作ってあげる」と告げたら意外にあっさり帰っていった。
 ちょっと寂しいような気もするが、「…待ってる」と微笑んだ彼を見たらそんな気持ちも吹っ飛んだ。

 それから双子とも合流した。俺は会っていないけど。
 なぜか先輩が、先程のように掃除ロッカーに押し込んだのだ。だから俺は3人の動向を見守っていたにすぎない。出ていこうにも先輩が2人に弁当を渡す際に、「りんごは先に帰った」なんて言うからいけないんだ。


「…さて、と。仕事頑張れよー」
「え、深鶴は仕事しねーのかよ!?」
「俺?…俺はこいつとサボる」


 不意打ちだった。
 寄っ掛かっていたロッカーの扉が開き、よろけた俺を抱き抱えながら先輩がそう言ったのだ。

 そこからは色々と衝撃的すぎてよく覚えていない。気づけば屋上にいた。


「えっと、どんな状況ですか?」
「弁当はあいつらに渡してやっただろ。だからお前は俺に付き合え」


 先輩はごろんと横になってそう告げる。特に何かをするわけではなさそうだ。
 誰かに見つかる可能性があるにもかかわらず、俺は先輩の隣で横になった。空は眩しいくらい晴れ渡っていた。

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(c)家出日和

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