003 =====
(次男視点)
普段より早く家に着いた。といっても、十分遅いのだけど。
いつもは消えているハズのリビングの明かりがついているのを見て、俺はあいつを思い出していた。
「…あ?」
「お、深鶴!お帰り!」
「鶲、静かにしろ。りんごが起きる」
「あ、ヤベ…」
こんなことってあるのだろうか。まさか思い出したその人物がソファにいるなんて。
久しぶりに会ったりんごは、気持ちよさそうに眠っていた。頬をほんのり赤く染めていることと散らばった缶から、酒を飲んでいたことはすぐに予想がついた。
「…ったく、何やってんだよ……うわ、ぐっすりだし」
「悪い、久しぶりだったからついはしゃいじゃってさ」
「俺も止めなかったんだ、鶲と鶫ばかりを責めないでやって」
横抱きにすれば、その重さがこいつがここにいることを実感させる。
俺は兄弟たちの声を後ろに聞きながら2階へと上がった。
こいつがいなくなってまだそれほどたっていない。部屋だってそのままだ。
「…ん」
ベッドに下ろせばりんごが身動ぎ、その声にすらドキドキする。情けない。
「…もっと会いに来いよ、りんご」
彼が嬉しそうにはにかんだ気がした。
今はこれだけで満足してやるよ。
俺はそっと頭を撫でた。明日の朝、彼の笑顔に会えること願いながら。
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家出日和