002 =====

 先輩が好きだと気づいたきっかけなんて、ほんの些細なことだった。でも気づいてからはどんどん気持ちが膨らんで、同時に胸は苦しさを増すばかり。先輩を含む彼らに会わなくなってからは苦しみは治まったけれど、代わりに何かがたまっていった。


「りんごのご飯、久しぶり……嬉しい」
「いっぱい食べて?俺も久しぶりに会えて嬉しかったから、そのお礼」
「りんごくんを見つけた鶫にも感謝しなくちゃね」
「話は食べながらでも出来るだろ、早く食べようぜ!」


 夕食の席に先輩の姿はなかった。
 鷹人さんの話だと、学年が上がってから帰るのが遅い日が増えたらしい。きっと今日も誰かと寝ているんだろうな。自分で予想したくせに傷ついている自分がいた。


「なぁりんご、これ飲まね?」
「え……って、チューハイ!?まだ未成年なのに…!」
「堅いこと言うなよ、来年には飲めるようになるんだからさ!」
「大丈夫、炭酸ジュースだって」
「そーゆう問題じゃない!」


 結局推しに負けて飲むことになったのは、鷹人さんのせいだ。いつもは止めてくれるのに、今日は苦笑するだけで何も言わなかった。

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(c)家出日和

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