002 =====
適当にぶらついていると、ちょうどいい店を見つけた。安い割りにデザインが凝っていて、俺好みというか。
その中からどれを買おうかと選んでいると、新が横から1つのストラップを差し出してきた。
「りんごだし、これに決まりだろ」
「安易」
「いいじゃん、女っぽいわけじゃないんだから」
新が見つけてきたのは林檎がモチーフのストラップで、決して可愛いわけではなく男女共に好みそうなものだった。
口ではああ言ったが、俺も気に入ってしまったのだから困ったものだ。
「じゃあ新はこの横のにすれば?」
「え、俺も買うのかよ」
「いいだろ、せっかくだし」
新しいストラップをぶら下げ、最後にスーパーへとやってきた。春原家から近いいつものスーパーだ。
だからだろうか、そこでばったり春原さんたちに会ったのだ。しかも驚くことに全員だ。
「りんご……これから、買い物?」
「手伝うよ、荷物持ちくらいは出来るしね」
「え」
鷹人さんと鴇矢くんを連れ立ってスーパーに入った俺は知らない。
「りんごはさ、俺らのものなわけ。親友だか知らないけど抜け駆けは許さねーよ?」
「そーゆうことだから」
「帰った帰ったー」
「…人がおとなしくしてればいい気になりやがってー!」
だって新は、俺の前でキレたことがないのだから。
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家出日和