002 =====

 あの後俺は、鴇矢くんを少し怒った。「はしたないことしないの!つか自分でとれるから」と。恥ずかしさを誤魔化すためでもあったのはここだけの秘密だ。

 クレープを食べ終え、また歩き出す。
 いくつも他愛のない話をした。学園の話を始め、好きな食べ物や趣味、勉強のことなんかも。話題は尽きなかった。よくこんなに話せたなと思う、量的にも時間的にも。

 1人で歩けば30分もかからない距離だ、よほどゆっくりだったのだろう。


「りんご」
「ん?」
「悩みとかはない?」


 唐突な質問にきょとんとする。悩みと言われても、いざとなるとすぐに出てこない。きっとそんなに大したことじゃないんだろうな。


「…鶲の好き嫌いが激しいことかな」
「え」
「鶫もなんだかんだで我が儘なところがあるし」
「……」
「深鶴さんは連れ込まないだけいいけど、もう少し控えてほしいかも」


 半分冗談だったのだが、鴇矢くんは結構本気に受け取ったらしい。そして一言、「お母さんみたいだね」と言った。
 うん、そうかも。


「お母さんかぁ……こんなに若いうちから5人の子持ちはキツイよー」
「じゃあ……おれがお父さんやる、から」
「え?」
「りんごを、助けてあげるから」
「……。ありがとう、鴇矢くん」

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(c)家出日和

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