001 =====
今日は早く学校が終わった。先生方の都合らしく、いつもより1時間早く帰れることになったのだ。
昨日買い物を済ませておいたおかげで、今日は真っ直ぐ家に帰れる。そう思って歩いていたところで、誰かに腕を掴まれた。
「りんご、今帰り?」
「…え、鴇矢くん!?」
「今日、帰り早いって聞いたから……待ってた」
つぶらな瞳の彼の誘いを断れるわけもなく。俺は鴇矢くんと一緒に帰宅することになった。
いつもと同じ帰り道。ただし今日は鴇矢くんがいる。普段はあまり話さない鴇矢くんだが、今日はやけに饒舌だった。
「りんご。あれ、食べない?」
「クレープ?…でも、お金ないし夕飯もすぐだし」
「…じゃあ、おれがお金出すから。おれのやつ、半分こにしよう…?」
結局言いくるめられてしまって、気づけば1つのクレープを一緒に食べていた。何のヘンテツもないチョコクリームバナナのクレープ。でも、久々に食べたせいかすごく甘くておいしい。
「…りんご、ついてる」
「え?」
「口の横に、クリーム」
「嘘、うわ恥ずかしい!」
「そっちじゃない、こっち」
口の横をペロリと舐められる。
驚いて鴇矢くんを見れば、いつもと変わらぬ無表情。それなのに、なんとなく「褒めて」と言っているような気がするのはなぜだろう。
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家出日和