002 =====
それ以降も必死に説得する双子に、つい笑ってしまった。「無理にとは言わない」と言っておきながら、やることが矛盾している。
でも、さっきまでみたいな憂鬱な気持ちはもうどこにもなかった。
「分かりました」
「え」
「僕自身はお金もあまりないので買い物出来ませんが、お付き合いします」
その時の2人の喜びようったらなかった。鶲はひたすらはしゃいでるし、鶫なんか必死に喜んでるのを隠そうとしてるし。
そんな2人を見ていたら、買い物するのも悪くないと思った。
思ったのだが。
「りんご、この服似合いそう!ちょっと着てみようぜ!」
「りんごにはこーゆうシンプルなのがいいんだよ。それじゃ服が目立つに決まってる」
「バーカ。平凡なりんごにはこのくらいインパクトがある方が絶対にいいね!」
「馬鹿はお前だ。それじゃありんごが負ける、着られてる感じになる」
…俺のこと気遣ってくれるのはいいのだが、けなされてる気がするのはなんでだろう。
俺は2人から離れて店内をぶらついてみた。
適当に入った服屋は、俺でも買えるお手頃価格だったのだ。入ろうと言ったのは鶫だったから、もしかしたら知っていたのかもしれない。
でも、まぁ。
「あ、これとかよさそう」
たまには新しい服があってもいいかもしれない。
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家出日和