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 それ以降も必死に説得する双子に、つい笑ってしまった。「無理にとは言わない」と言っておきながら、やることが矛盾している。
 でも、さっきまでみたいな憂鬱な気持ちはもうどこにもなかった。


「分かりました」
「え」
「僕自身はお金もあまりないので買い物出来ませんが、お付き合いします」


 その時の2人の喜びようったらなかった。鶲はひたすらはしゃいでるし、鶫なんか必死に喜んでるのを隠そうとしてるし。
 そんな2人を見ていたら、買い物するのも悪くないと思った。

 思ったのだが。


「りんご、この服似合いそう!ちょっと着てみようぜ!」
「りんごにはこーゆうシンプルなのがいいんだよ。それじゃ服が目立つに決まってる」
「バーカ。平凡なりんごにはこのくらいインパクトがある方が絶対にいいね!」
「馬鹿はお前だ。それじゃありんごが負ける、着られてる感じになる」


 …俺のこと気遣ってくれるのはいいのだが、けなされてる気がするのはなんでだろう。

 俺は2人から離れて店内をぶらついてみた。
 適当に入った服屋は、俺でも買えるお手頃価格だったのだ。入ろうと言ったのは鶫だったから、もしかしたら知っていたのかもしれない。

 でも、まぁ。


「あ、これとかよさそう」


 たまには新しい服があってもいいかもしれない。

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(c)家出日和

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テーマ「人外ファンタジー」
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