004 =====
目を覚ますと、見覚えのない天井が見えた。体には毛布がかかっている。どうやらソファーで眠ってしまったらしい。
「あ、おはよう」
「おはよう…」
「ふふ、まだ寝惚けてる?人生ゲームで笑い疲れたのかな、ぐっすりだったね」
頭を撫でられながら、ぼんやりとした頭で考える。この人は誰だろう。
「よく寝てたよなー。つついても全然起きねーの!」
「そんなことしちゃ、駄目」
この人だけかと思っていると周りには知らない人がたくさん集まってきた。
何の話をしているのか、なぜここにいるのか記憶にない。
「ちょっと待って。様子がおかしい気がする」
そう言われて視線が集まると、何もしていないのにドキドキする。緊張や不安の入り交じった感情。
自分でも分からないうちに、目に涙が浮かび始める。
「…お名前と年、言えるかな?」
「き、木之下りんご。6歳、です」
「やっぱり…」
名前を答えると、最初に話しかけてきたお兄さんが「ありがとう」と頭を撫でてくれた。
初めて会う人なのにこの安心感はなんだろう。
すでに引っ込んでしまった涙のことを考えたけど、すぐにどうでもよくなった。
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家出日和