004 =====
「せせせ、先輩!?」
慌ててもがいても、深鶴先輩の腕にがっちり抱き込まれていて動くことが出来ない。むしろ、抵抗すればするほど力が強くなってる気がする。
俺は自力での脱出を諦めて、交渉に移ることにした。
そして顔を上げると、予想外に先輩のドアップ。いくら見慣れたとはいえ、こんな間近で見るのはやっぱり恥ずかしくて顔に熱が集まり出した。
「せッ……先輩!起きて!」
「…無理」
「なんでですか!」
「こんな美味しい状況を、俺が逃すと思ってんの?」
「え」と思った時にはもう遅かった。もともと身動きのとれなかった俺はほとんど何の抵抗も出来ずにそれを受け入れた。
重なる唇からは舌が差し込まれ、口内を縦横無尽に舐め回す。次第に空気が足りなくなり、思考もとかされたようにぼんやりとしていった。
解放された時には力が抜けてしまっていた。
俺は空気を取り入れるのに必死で、その時の自分の状況を把握出来ていなかった。
「…ッ、んぁ…!」
口から自分のものとは思えない甘い声が出て、俺は口を覆った。
視界の端に映ったのは、ワイシャツの上から胸の突起を舐める先輩の姿だった。
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家出日和