004 =====
結果から言えば、計画はまさかの大成功だった。
「あ、あの…?」
「ここ、ドキドキしてるな」
「え」
「俺までドキドキしてくる」
素の行動だったのだろうが、そこが河後の魅力でもある。河後は雅人くんの胸に手を当て、鼓動を聞いた。そのドキドキはときめきでこそなかっただろうが、雅人くんを勘違いさせるには十分だったらしい。
気がつくと、あっさりホモップルが誕生していたというわけだ。
「オレ、いらなかったじゃん。完全に存在忘れてるし。河後の馬鹿あ」
「前島って河後のこと好きだったんだ」
「好きだけどそーゆう好きじゃない! …って、いつからいたの?」
「前島が来る前から」
ニコリと笑う彼は、不良のオレに話しかけてくる珍しいクラスメイトの1人だ。名前は知らない。覚えてない。でも、オレがクラスで馴染めているのは彼のおかげかもしれない。
「…でさ、なんでこんなことになってるの?」
「だって、吊り橋効果なんだろ? されたことのないことをされてもドキドキすると思うんだよね。で、どう?」
「…ドキドキしてるかもしれません」
ヤバい。河後のこと言えないかもしれない。
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家出日和