028 =====

「そろそろ教室に戻らないとなー」
「りんご、話は終わってな……」
「ごめん。雇い主は春原家5人だから、2人がよくてものこのこ戻ったりなんか出来ないよ」


 お昼休みは穏やかに、かといってこれといった進展もなく過ぎた。
 双子には無理矢理納得させてしまったから少し心苦しい。きっと、鷹人さんや鴇矢くんも俺が春原家にいるのを許してくれるはずだ。反対しているのは深鶴先輩だけ……分かっていても、その事実が胸に突き刺さる。


「りんご」
「何、鶫?」
「今はこれで仕方ないと思うことにするけど……深鶴のこと説得して必ず迎えに行くから」


 すごく真面目な顔でそんなことを言うから、何を言われているのか理解するのに時間がかかった。でも、理解した時にはもう遅くて、気付くと顔は真っ赤だった。と思う。
 こんな風に必要とされることが嬉しくて、また戻りたいと思ってしまう。まだ飛び出して1日もたっていないのに変な話だ。


「鶫だけいいカッコしやがって。オレも頑張るからさ、だから少しだけ待ってろよな」
「……迎えに行くとか待ってろとか、プロポーズじゃないんだから」


 誰からでもなく吹き出す。進展はなかったけど、双子との関係は変わりないみたいで安心した。


「あ、でもこれだけは答えてよ。昨夜はどこにいたのか!」
「あー……その、御堂先輩の家? なんちゃって」
「ええ! ななななんで!」
「成り行きだよ! 俺も気付いたらそうなっててわけが分かんないんだよ!」

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