026 =====
「まあ、成り行きだし仕方ないか」
もはや何の弁解も出来ずにいた俺に、行平はため息をついた。見限られたのかとも思ったけど、行平の言葉には優しさが混じっていた。
その言葉にあからさまに安心して見せたら睨まれたけど。
「問題は、こっからだしね」
「う……しばらくは戻りたくないなあ、啖呵切って飛び出してきたのに」
「今更カッコ悪いも何もないけどね」
「言うなよ!」
それから、行平は色々と考えてくれた。教えてくれた。
風紀委員である行平が表立って俺を助けるとしたら、それは最終手段らしい。波風を立てないことの方が重要だからだ。すでに若干の注目を集めてしまっているが、そこまで悪化しないことを祈るしかない。
気を付けることと言えば、御堂先輩や春原さんたちとの接触だ。御堂先輩は新聞部のネタとして俺に目をつけたのだから、自分から特ダネを明かすようなことはしないはず。というのが行平の推測だ。そうなると、双子が1番の悩みになる。
「同じクラスだし、話を聞くとりんごを首にしようとしてるのは春原深鶴だけなんだよね」
「…うん」
「双子はりんごに戻ってきてほしいだろうから、人目を憚らずにアタックしてきそうだなー…困るのはりんごなのに」
「うん」
確かに困ってしまう。でも、まだ必要とされてる。そう考えて嬉しくなってしまう俺は、まだ事態を軽く見ているのだろうか。
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