024 =====

 それからどうしたのか、俺には記憶がない。目を覚ましたら見覚えのない天井があって、時計を見たらいつも通りの時間だった。そして、昨日の夜どうしたのか思い出せない事実に気付いた。
 きっと、脳が拒否したのだろう。


「おはよう、早起きなのだな」
「え、御堂先輩……おはようございます」


 しばらくぼんやりしていると、すでに制服姿の御堂先輩がやってきた。
 反射的に挨拶を返し、ふとあることに気がつく。今日は平日だ。つまり普通に授業がある。


「あ、制服…ッ」
「気にしなくていい。制服くらい用意してあるからな」
「は?」
「まあ、さすがにノートはとりに戻ってもらわねばならないが……今日1日くらいなんとかなるだろう?」


 本当に俺を居座らせるつもりらしい。

 春原家に戻らなくていいというのは、俺からしてみればとても助かる。一晩たったにしても気まずいものは気まずい。でも、御堂先輩のところに厄介になるかどうかというのはまた別の問題だ。

 とりあえずあとで考えよう。そう決めて用意してもらった制服に着替えていると、御堂先輩が残念そうに言った。


「しかし、我が家にはプロのコックやらメイドやらがいて人手は足りているらしい。このままでは君の奉仕を受けられないんだよ」
「それは、そうでしょうね」

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