008 =====

「なるほどね」


 俺の話を聞き終えた鷹人さんは、不思議な表情で頷いた。優しい表情なのにどこか懐かしそうに、それでいて面白くて仕方ないとでも言うように。
 その表情の意味は、鷹人さんの一言ですぐに分かった。


「若いっていいよね」
「そんな年寄りみたいな言い方……鷹人さんも十分若いです」
「高校生と大学生ってやっぱり違うんだよね。じゃなくて」


 少し冗談めいた空気が変わった。
 この人たちは、本当に空気を操るのが上手だ。こっちがのまれてしまうのは仕方ないことだと思う。


「りんごくんは、自分が悪いと思ってるんだね。確かに、そうかもしれない。でも、深鶴に非がないわけじゃないから。この場合はどっちもどっちかな」
「でも…」
「深鶴にだってりんごくんと同じ時期はあったんだ。もちろん僕にもね。自分だってさんざん思い悩んで今に至るはずなのに、それを理解してあげられないのは深鶴の力量の問題だよ」


 どう考えても俺が悪いのに、鷹人さんはそう言ってくれた。まだ納得のいかない俺は反論しようとしたけど、鷹人さんに優しく微笑まれたら黙って頷くしかなかった。

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