002 =====

「で、寝不足なんだ?」


 第一体育館。自分たちのクラスの場所に腰をかけながら、新は少し呆れたように言った。隣の席に座りながら言い換えそうと試みたけど、いい言葉が見当たらない。
 だって、自分でも馬鹿だなって思ってるから。


「結局何時まで起きてたんだよ?」
「1時くらいまでは記憶にあるんだけど……気付いたら朝で、自分のベッドにいた」
「じゃあ、少なくとも春原先輩はそれより遅い時間に帰宅するわけだ」
「うん」
「それでもって、遅くに帰宅して疲れてる先輩に余計な仕事を増やしたと」
「う……」


 しょんぼりする俺を見て、新は苦笑気味に頭を撫でてきた。どうやらからかわれていたらしい。でも、あながち間違いでもないのが痛いところだ。もう少し広い心で待っていた方がいいのだろうか。

 よっぽど暗い顔をして悩んでいたらしい。新が少し強めに背中を叩いた。
 文句を言おうと顔を上げると、ステージの方が騒がしい。周りのざわつきも大きくなってきた。


「今はこっちに集中しろよ。今期生徒会の最後のお役目なんだからさ」


 そう、今日は生徒会による役員決め──生徒会選挙の日なのだ。

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