044 =====
「でも意外でした」
「何が?」
「ハルさんて、人の気持ちに敏感なんだって勝手に思ってたので」
「何言ってんの。こいつはいつもこんなだよ」
より身近な先輩が言うならそうなのだろう。でも、夏休みでのことを思い出すと素直に納得も出来ない。
不満そうな顔をしてたのに気がついたのか、ずっとそばで聞いていた藤岡先輩小さく笑い出した。
「この2人はいつもこうなんだ。なんだかんだ言って、ブラコンだからな」
「誰がだ!」
「そうかも」
息もぴったりで、藤岡先輩の言ったことは案外間違っていないのかも。言ってることは真逆だけど。
「…用件も済んだことだし、もう帰れば?」
「そうだな。一応部外者だし、あんまり居座らない方がいいかなとは思ってたんだ。じゃあな、波留。いつでも連絡してこいよ」
「誰がするか、馬鹿春日」
「ん?」
今聞き慣れない言葉が…?
「ハルって呼べっていつも言ってるのに」
「嫌に決まってるだろ。自分のこと呼んでるみたいで気持ち悪い」
「あの、春日ってもしかして…?」
「ああ、俺の名前」
女みたいだよな、なんてため息をつくハルさんの隣で、俺はある意味2人が兄弟と知った時よりも衝撃を受けたのだった。
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