037 =====
お金持ちの学校だからみんなやる気ないんじゃないか。というのは外からの意見だ。俺も最初はそう思っていた。
もちろん、予想通りの人たちもいるけど、大半は勝者になることを前提にここに入れられた人が多い。また、プライドも高い。
要するに、負けず嫌いが多いのだ。
「お、うちのクラスに入った」
「同じ学年でも知らないヤツって結構いるよなー」
「りんごの友人関係が狭いだけだろ」
「そーゆう鶲はどうなんだよ」
さほど話すわけではないけど、クラスメイトだ。周りの熱気に煽られながら、俺も声を張り上げる。
バトンが次のクラスに渡った瞬間、黄色い声が増えた。
「あれは、青葉かな?」
「だろうな。改めてすごい人気あるって感じるよ」
「普通の高校生なのになー」
残念ながら、俺らのいる場所は青葉から遠い。青葉はちょうど反対側のトラックを走っているからだ。
選手が走るのは校庭半周ずつだから仕方ない。
代わりに、次に走った東雲のことは全力で応援したけど、走り終わった彼から何やら不機嫌なオーラが出ていたのは気のせいではないだろう。
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