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 一緒にゴールした俺たちには点数が加算された。正確には、並越先輩のいる青組にだけ加算された。


「え、だってにとうって仁藤だろ…?」
「本当に知らないの? 仁桃っていうのは名前で、名字は藤岡っていうんだよ。ということでやり直し!」


 何が駄目なのか体育祭委員に掛け合ってみたけど、返答は一刀両断だった。
 悔しくて並越先輩を見ると、先輩はしてやったりの顔でこちらを見ていた。まんまと先輩の作戦にハマったわけだ。なんてこった。もう時間がない。

 俺は近くにいた体育祭実行委員の二宮くんを連れてなんとか点数を手に入れることが出来たのだった。


「さっきは悪かったな」


 ゴールのあと、協力してくれた人たちにお礼を告げていると声をかけられた。低くて通る声の持ち主は、先程俺を混乱させたにとうさんこと藤岡先輩だ。
 すぐ横には並越先輩もいて、どうやら藤岡先輩に無理矢理連れてこられたらしい。いつにも増して不機嫌そうにしている。


「よく知らないうちに協力してしまったせいで、余計な時間をとらせたな」
「いえ、俺が知らなかったのが悪いですから」
「そう言ってもらえると助かる。助かるついでに、こいつのことも大目に見てやってほしい」


 ぐいと前に出された並越先輩は、不機嫌そうだけど俺といる時とは違った表情だった。2人は仲がいいのだろう。


「それじゃあこれで。どうやら君は生徒会に縁があるようだから、また会えるだろう」


 最後に気になる一言を残し、先輩たちは自分たちの組へ戻っていった。

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テーマ「人外ファンタジー」
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