022 =====
それからの鷹人さんの行動は素早かった。毎日のスケジュールを立てると全員に確認をとり、改善を加える。
結果、出来上がったのは俺が部活動を行うための時間だった。
「朝御飯とお昼のお弁当は、申し訳ないけど今まで通りで。問題の放課後は、りんごくんの負担を僕らで分担すればいい……結局夕飯は作ってもらうことになっちゃうけど」
「いえ、それだけで十分ありがたいです」
「帰ってからの洗濯物を取り込んだり買い物をしたりはオレらに任せといて!」
「鶲だけじゃ任せられるものも任せられないよ。しばらくの間、買い物は2人1組にしよう。慣れてきたら1人ずつにして…」
「夕飯、済んだら……おれが力になるから…!」
「ありがとう、鴇矢くん」
春原さんたちみんなの心遣いが嬉しい。
こんな状況なのに、こんな状況だからこそ、知ることが出来たそれ。
明日から少しずつ変わっていくんだ。その日、俺は明日を夢見ながら眠りについた。
「何寝てんだよ」
「いった…ッ、あれ、深鶴先輩? おかえりなさい」
「おかえりなさいじゃねーよ、なんで今日は待ってないんだよ」
豆電球のぼんやりとした明かりで見える先輩の顔はなぜか不機嫌そうだった。
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