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 夕飯が終わって一息ついた頃。リビングにはテレビを見る鶲、うとうとと舟を漕ぐ鴇矢くん、レポート課題をする鷹人さん、そして俺と鶫がいた。深鶴先輩がいないのはいつものことだ。

 相談しようとは言われたけど、俺はまだ決心がついていなかった。
 だから皿洗いがあるからと必死に先を伸ばしてみたが効果はなかった。最近の鶫は皿洗いくらい軽く済ませてしまう。


「そーゆうことは、早く相談して欲しかったな」


 どんな言葉が返ってくるのかと思いきや、鷹人さんからの第一声はこれだった。
 同時に頭を撫でられて、堪えていたものが溢れ出しそうになった。涙はこぼれなかったが、顔は上げられなかった。


「りんごくんが絳河大学に進みたいっていうのは、見ていれば分かるよ。まさか特待生枠を狙ってるとは思わなかったけどね」
「…すみません」
「謝ることじゃない。りんごくんの未来はりんごくんのものだから」


 彼らは背中を押してくれるのだ。迷っている俺に自信を持てと、頑張ってもいいのだと、励ましてくれるのだ。


「でもナミ先輩が相手かー…先輩ってさ、可愛いけどたまにスイッチ入るよな。オレ、少し苦手」
「鶲の好みは知らないけど同感。普段はいい人なんだけどな」


 そして、並越先輩へのイメージが俺も鶫も鶲も大して変わらないようで、その点も俺に安心感を与えた。

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