018 =====

 くりくりとした大きな瞳を細めて、生徒会役員である彼はクスリと笑った。


「これがライバルかと思うと、やる気なくなるよねー」
「え…?」
「あれ、要っちに聞いてなかったんだ? 失敗した、言わなきゃよかったなー」


 わざとらしく肩をすくめる。

 でも、俺はそれどころではなかった。さっきまで顔も知らない誰かに闘志を燃やしていたわけだが、それは彼だと知らなかったから出来たこと。自分が競わなければならない相手が生徒会役員だなんて、知らなきゃよかった。


「もしかして、ビビッてたり?」
「わ、悪いですか。俺みたいな一般人からしたら、生徒会は雲の上の存在なんですから」
「ま、それもそうか」


 俺の紙袋の中身をチラッと見ると、彼は去って行った。「まだそんなことをしてるのか」って言われた気がした。
 生徒会なんて、天才の集まりだ。俺が努力してどうにかなるものじゃない。思っていた以上の強敵に、俺は戦意を喪失してしまったんだ。

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