012 =====

 悩みというのは、1つ出来るとどんどん増殖していく気がする。それが進路のことだからだろうか、道を拓こうとすると何かが邪魔をしてくるんだ。


「この前、俺らに話したいことがあるって言ってなかった?」


 鶫も、悩みの1つ。
 この前、俺がハルさんと大学を見に行った日に言った「話したいこと」を、鶫はとても気にしていた。あの日にはぐらかしたせいもあるのだろう。今日という今日は、言うまで話してくれなそうだ。


「言った、けど」
「言う必要がなくなったとか?」
「違うんだ! その、言うまで至ってないっていうか……」


 話そうとして躊躇って、先延ばしにしたのは事実だ。しかし、問題が増えすぎてもう上手く話せる気がしない。

 絳河大学に行きたい、しかも特待生枠で。でも、それには部活が不可欠で、家政夫としての時間を減らさなくてはならない。同じ枠にはライバルがおり、美術を教えてもらうつもりだった先生にはすでに予約が入っている。
 つまり、家政夫としての時間を減らしてもらっても俺が受かる可能性は、五分五分かそれ以下。受かったとしても、春原さんたちにはマイナスばかりというわけだ。

 それなのに、相談なんて出来る気がしなかった。

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