004 =====
とりあえず、授業が始まってしまうというので急いで大学に忍び込んだ。初めてくる場所にキョロキョロしながら歩く。ハルさんと秋良さんに連れてこられた教室は、高校の比にならないくらい広かった。
「あんまり挙動不審にしてると逆に怪しいぞ」
「だ、だって…」
「初めて来る場所は気になるものたくさんあるもんな、でも今だけは我慢しろよ?」
あまり目立たなそうな席を選んで腰を下ろす。隣にはハルさんが、前には秋良さんが座って壁になってくれるらしい。
授業の内容は語学系らしい。
間もなく先生だと思われる人が入ってきて、授業が始まった。広い教室、難しい内容、高校の2倍はある授業時間……高校とは違う、初めて聞く授業。
俺はテンションが上がりっぱなしだった。
「秋良さん、秋良さん」
「あ?」
「教科書、ちょっとだけ見てもいいですか?」
「……、ちょっとだけな」
「あ、そっちは…?」
「これは参考書だよ、希望者だけ買うの」
「じゃあ、そっちもあとで!」
すべての授業がこうも楽しいわけじゃないのは分かってる。でも、すごく楽しかったんだ。
「…ハル」
「ん?」
「あの先生の授業が人気あるの知ってただろ」
「さぁ?」
「……」
「まぁ、来てもらうには楽しいところを全面に出していかなきゃな」
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