001 =====
文化祭が終われば次は体育祭が来る。種目を決めたり練習があったりで何かと忙しい。受験関連のことも本格的になってくる。
俺は、1つの区切りをつけなくてはならなかった。
「どこか出掛けんの?」
ある晴れた土曜日。俺は出掛ける準備をしているところを鶫に呼び止められた。ちょうどマグカップを持って降りてきた鶫は、こちらをジッと見ている。
「うん、ちょっとね」
「ちょっとって何なの」
「ちょっとはちょっと。お昼はチャーハンを作ってあるのでそれを食べて下さい」
行くところを知られたらきっと鶫はいい顔をしないだろう。直感的に思って濁した。
鶫はまだ何か言いたそうにしていたが、俺が絶対に言わないと悟ったのだろう。無言でマグカップに麦茶を注ぎ始めた。
「ねぇ、鶫」
「何」
「今日、帰ったら話したいことがあるんだ。皆さんに」
鶫は何も答えてくれなかった。マグカップを手に自室に引っ込んでしまったから。
でも、なんとなく分かっているのだと思う。鶫だけじゃない、春原さんたちみんな。だってやけに勘が鋭い人たちだし。
俺は今日、ハルさんの通う大学を見学しに行きます。
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