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「初めましての人もいると思うので、まずは自己紹介から。僕は現生徒会長の天王寺隼臣の先輩にあたる、前生徒会長とでも言えばいいでしょうか……春原鷹人といいます」


 鷹人さんが名乗ると、体育館内は一斉に沸いた。知ってる人はもちろん感動するし、知らない人でも美形な鷹人さんに頬を染める。名字であの深鶴先輩や双子と関係があると気付いた人もたくさんいるだろう。

 改めて鷹人さんや春原家のすごさを思い知らされる。


「……そして最後に。今を精一杯楽しむのも大切だけど、未来を考えるのも今の大切な仕事だってことを忘れないで」


 文化祭の感想や高校生活のことを簡単に、楽しく話すと一言だけ添えて、鷹人さんは頭を下げステージ脇に下がって行った。


「すごい人だよな、やっぱ……りんご?」


 最後の言葉。あれは俺に宛てた言葉だったのではないかというくらい、ジャストだった。
 春原さんたちにお世話になっていること。部活のこと。大学やハルさんのこと。今悩んでいることは全て未来、これからのことばかり。まるでそれを知っているかのようなあの言葉。


「…そっか。俺がそう言わせちゃったんだ」
「りんご?」
「ううん、何でもない」


 鷹人さんは優しい人だから。きっと、今日一緒に回ったアレだけで……いや、一緒に過ごす中で。俺のことを気にかけていたんだ。

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