038 =====
ミスター女装コンテスト、通称ミスコン。この学園では生徒会の出し物の次に盛り上がる行事だ。予選は事前に行い、当日は5人で1位を競うのだ。
すでにステージには5人の美少女、に見える男子生徒が出揃っている。その中には、俺の見知った顔もいた。
「杏先輩!?」
「りんごは忙しかったし知らないのも無理ないよな……わりと人気あるんだよ、あいつ」
苦笑を浮かべて説明する新。でも、心なしか誇らしげに見えた。
杏先輩は「シンプルに可愛く!」がテーマらしい。ふわふわの服にミニスカート、そしてレースのエプロンをつけている。アピールタイムでは、オプションのおたまを手にお約束のあの言葉を言っていた。「おかえりなさい」はすごくずるいと思う。
他の4人も有名らしく、会場は沸き立つ。「男に見えないな」なんて思いながら眺めていると、もう1人見覚えのある人がいた。
「あれ…?」
確か、昨日見たのは彼だった。
ここまで残ってるだけあって、彼は遠目で見ても目立っていた。
「そっか、あの人って…」
「え、知り合い?」
「生徒会だよ」
呆然と見つめていると、彼と目が合った気がした。
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