037 =====

「そろそろ時間だね」


 そう言って、鷹人さんと鴇矢くんは生徒会室へと向かった。美術部に寄ったあとは上の空で、なんだかすごく申し訳ないことをしてしまったと思う。
 でも、俺も片付けがあるので教室に戻らなければならなかった。

 簡単に店じまいをすると、そのあとは体育館で後夜祭が行われる。バンドとか生徒会の出し物とか売り上げのランキングとか……あと、例のミスコンとか。


「…よく寝れるな、こんな騒がしいのに」
「疲れてるんだよ、身も心も」


 ステージでは、流行りの曲をカッコよく歌い上げるバンドグループが体育館を盛り上げている。でも、転入生から逃げたりメニューを持って走り回ったりした俺はくたくたで、それすら子守唄だった。


「新、何かあったら起こして」
「仕方ないなー…肩貸してやるからゆっくり寝てろ」
「ありがと、愛してる」
「俺も」


 冗談混じりのやり取りを交わしながらも、俺はすぐに眠りについた。
 しかし、疲れはてた俺が眠ってられないほどの叫び声が数十分後にあがる。


「な、何…!?」
「あ、さすがに起きたか」
「もしかしてこれって…」
「そ」


 メインイベントとも言えるミスター女装コンテストの幕開けであった。

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